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  4. 2020.06.02
検察をめぐる一連の騒動
現況は安倍首相の疑惑だ
 
 「官邸の番人」と揶揄され、東京高検検事長を辞職した黒川弘務氏の定年延長問題が発端の政治の混乱は、モリ・カケ、サクラ等の疑惑封じを狙った安倍政権の検察人事への介入が原因だ。

 国民の怒りのうねりで政府・与党は、検察官の定年を恣意的に延長可能とする検察庁法改悪案の今国会での成立を断念した。そして、渦中にあった黒川東京高検検事長はスキャンダルで辞職するという展開となった。

法の支配を破壊
 首相官邸は、「稲田伸夫検事総長に混乱の責任を取るよう求めた模様」と毎日新聞が報道した(5月22日付)が、今回の混乱は安倍首相が立憲主義を蹂躙しながら7年半も続けてきた一強体制で権力を私物化してきたことによるのは自明ではないか。 

 姑息にも法務・検察当局に責任転嫁して収拾を図り、延命を画策する安倍政権が許されることがあってはならない。

 検察官は刑事事件の被疑者を訴追する強い権限をもち、内閣総理大臣を逮捕・起訴することもありうる。被告になる可能性がある政治の側が検察官の人事を行うことになれば、三権分立と法の支配が破壊されることは言うまでもない。

 検察官は行政官であっても、裁判官に準ずる形で独立性が担保されてこそ巨大な権力犯罪をも暴くことが可能となる。したがって、検察官に一般法である国家公務員法を適用しないことは、検察庁法の立法の趣旨からして当然としてきたのが従来からの運用基準である。

 「官邸の番人」と揶揄された黒川東京高検検事長の定年延長問題は、安倍内閣が違法な法律解釈によって強行した。首相官邸による検察への介入そのものであり、任命権に名を借りた人事介入であることは明白だ。

疑惑を解明せよ
 その黒川氏があろうことか、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために国民が自粛を余儀なくされている最中に賭けマージャンをしていたと報道され、辞職に追い込まれた。

 モリ・カケ、サクラなど安倍首相にまつわる疑惑を不問にした「功績」が「余人をもって代えがたい」と、検事総長がらみの定年延長となったという指摘は説得力を持つ。

 安倍政権や検察に対する国民の疑念・不信、ツイッターのひとりデモ”が瞬く間に広がったのも当然だ。政治の信頼回復は、疑惑の徹底解明であり、違法な特例定年延長を決定した安倍内閣が責任を明らかにし、総辞職することである。
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