安倍内閣は第一次に続く第二次補正予算案を5月27日、閣議決定した。コロナ感染の第二波に備える構想もなく、民衆への給付の遅延もそのまま。当座もしのげぬ政権末期の無気力感が漂う。
総額31兆9114億円は第一次25・7兆円を上回る。第一次が余りに悪評で、いくつか新しい項目が入った。
事業者家賃支援(売上半減などの場合上限付きで3分の2支援)2兆242億円、雇用支援(雇用調整助成金を1万5千円に増額し労働者の直接申請給付金を創設)4519億円、ひとり親世帯支援1365億円等だ。持続化給付金はフリーランス向けを新設したが、1兆9400億円と第一次2・3兆円より減った。
JALの轍の恐れ
増額したのは地方への交付金で2兆円と倍増。首長の突き上げのためだ。一番増えたのは企業資金繰り支援(無利子融資と資本注入)で11兆6390億円。中小向けだった第一次3・8兆円に比べ大企業への支援を計上した。貸付とは言え、かつてJALに700億円注入し、国民負担となった轍を踏みかねない。
肝心の医療体制強化は2兆9892億円。第一次1兆8千億円から増えたが、コロナ対応医療機関支援、医療・介護の従事者に最高20万円などの緊急包括支援交付金2兆2370億円が主。PCRなど検査体制強化は622億円だけ。
経済活動再開には検査を世界水準にしなければならないのに、経済優先が露骨だ。欧米は、数十兆円を検査に投じても陽性者を除く人が安心して動ける条件を整える方が経済も活性化するという論調だ。極め付けは予備費10兆円。3分の1が予備費は前代未聞。気息奄々の政権延命資金だ。
未だ届かない給付
第一次補正の各種給付・支援すら必要な方面に未だに届かない。マイナンバー奨励で大混乱に陥った10万円給付は15自治体がオンライン給付を休止。過半の自治体が郵送受付・給付に切り替えた。
雇用調整助成は4月末時点で相談38万件、申請5万1千件に対し、支給決定2万7千件。オンライン申請はシステムトラブルで混乱。比較的進んでいる持続化給付金支給の業務は749億円も支払って電通に委託。欧米では現金が数日で給付されるのに、公務員を削減してきた実態が露呈した。
一方、一次補正で「不要不急」と悪評紛々の国内旅行の半額補助クーポン1兆6794億円は7月から執行というのだから度し難い。