1960年に締結された日米安全保障条約は、6月で60年となった。安保条約は、60年を経る中で当初の在り方から大きく変質し、米国の世界戦略を日本が補完する「軍事同盟」と化した。
最悪の地位協定
アジア・太平洋戦争の結果、米占領軍は日本の民主化を進めるとともに反共防波堤の要石とした。
1951年9月のサンフランシスコ条約と同時に旧安保条約が締結され、米占領軍は日本駐留を固定化した。そして、安保条約によって沖縄は1972年まで米国の施政下に置かれることになった。
1960年には安保条約が改定され、米国は日本防衛の義務と引き換えに在日米軍として日本駐留の権利を得た。
この新安保条約第6条により「日米地位協定」が締結され、在日米軍及び軍属には日本の施政権が及ばない「治外法権」的特権が与えられた。そのため、今日まで沖縄を中心とした在日米軍の数えきれない犯罪や事故は事実上免罪されている。こうした屈辱的な例は他にはない。
自動延長が継続
新安保条約締結から60年だが、改定時の1960年は、「安保闘争」が全国で闘われ、国会周辺は連日広範な民衆が押し寄せ、6月15日には33万の抗議の波で埋まった。その中で学生の樺美智子さんが死亡したことはよく知られている。
新安保条約は70年以降、締約国の片方が破棄通告すれば1年後には廃棄される。しかし、通告がない限り存続する、事実上の自動延長規定となっている。
集団安保へ変質
第5条は、「日本の施政下における武力攻撃」以外の地域では米軍を防護する義務はない。集団的自衛権は憲法9条で否定されているとされてきたからだ。しかし、自衛隊は「特措法」で活動範囲と派兵期限などを定めつつ、米軍の後方支援活動で事実上集団的自衛権を行使しているのである。
対中・朝同盟に
安保条約は締結当初の在り方から大きく変質し、今や米軍のアジア戦略を担うものとなっている。自衛隊は主に中国を仮想敵国とし、毎年の軍事費の増額で敵基地攻撃能力をも獲得した。更にトランプ米政権の武器セールスによって、言い値で買いまくっている。さらに戦域を宇宙空間に広げる作戦部隊も発足した。
平和は武力では護れないのであり、軍事同盟は廃棄すべきだ。沖縄・辺野古新基地建設を中止し、隷属的な地位協定を改定し、在日米軍に日本の施政権が及ぶ内容にすべきだ。