新型コロナの第二波対策のため国民と野党が国会の会期延長を強く要求したにもかかわらず、政府・与党は閉会を強行した。国民の命と暮らしより、疑惑隠し・政権延命・党利党略に走ったのだ。
第201通常国会は、安倍首相の「桜を見る会」疑惑やカジノ汚職での自民党議員の逮捕、憲法違反の自衛隊の中東派兵等に対する野党の追及で幕を開けた。
政権の疑惑尽きず
安倍政権は1月末、「政権の守護神」と揶揄された黒川弘務前東京高検検事長を検事総長に据えるための定年延長を違法に閣議決定。3月には森友学園への国有地売却で公文書改ざんを苦に自死した赤城俊夫さんの手記が公表され、改めて疑惑が焦点化した。
4月には、新型コロナ感染拡大への対応の混乱、「アベノマスク」や給付金の額や対象での迷走、5月には検察支配を目論んだ検察庁法改定案の審議入りを強行した。検察の独立性否定に危機感を募らせた世論の急速な盛り上がりで安倍政権は、「今国会成立を断念」、最終的には廃案に追い込まれた。
しかし、問題は残ったままだ。閣議決定は撤回されず、検察官の定年に関する首相の解釈変更の表明は宙に浮いたままだ。安倍政権の検察支配の野望は、消えていないのだ。
そして、「余人をもって代えがたい」と定年延長した黒川氏はコロナ禍で国民が塗炭の苦しみの中、賭けマージャンに興じていたことが暴露されて辞職した。
法の番人たる検察官、そのナンバー2が違法賭博で辞職したのに政権の誰も責任を取らず、しかも懲戒ではなく、訓告という極めて軽い処分。処分決定の経過も不透明なままだ。
自民・電通の腐臭
疑惑リレーは続く。経産省が所管するコロナ対策「持続化給付金事業」の再委託の「公金中抜き」疑惑だ。再公募に追い込まれた「GOTOキャンペーン」の不明朗な巨額委託費には、自民党と電通の長年の癒着から腐臭が立ちのぼる。そして、第二次補正予算に組み込まれた異例の予備費10兆円は、財政民主主義否定の汚点だ。
「安倍隠し」で逃げ
閉会強行などに対する野党の内閣不信任決議案は、閉会中審査を行う約束で提出が見送られた。
政府・与党は、新型コロナ対策での閉会中審査には応じているが、閉会翌日に逮捕された河井克行前法相と妻の案里参院議員の選挙違反を巡って安倍首相の出席する予算委の開催は拒否し続けている。疑惑隠し・安倍隠しは許されない。