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  4. 2020.08.25
ふるさと納税制度
廃止して交付税の改善を
 

最高裁は630、「国が大阪府泉佐野市をふるさと納税の対象から除外したのは違法」と判決した。原因は返礼品の加熱競争だが、法改正前の行為を根拠に除外したのは違法と判断したのだ。

 ふるさと納税制度は、どこの自治体にでも、例えば10万円寄付すると2000円を超える98千円が減税になる。高所得の人が100万円寄付すれば99万8千円の減税。その分、寄付者の居住自治体は減収に。自治体は、寄付を集めようと返礼品競争をエスカレートさせた。

返礼品競争に規制

 国は20193月、高額返礼品規制のため地方税法を改正。同年6月から対象自治体の「指定制度」を導入し、「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品」とすると決めた。

 さらに、総務相は「1811月から半年間に趣旨を歪めるような募集をしてこなかったかも考慮する」との告示を出し、5月に泉佐野市を含む41自治体を指定から除外した。

従う義務なくても

 泉佐野市は6月、「国地方係争処理委員会」に審理申し立て、同委は「改正地方税法に違反する恐れ」と総務省に再検討を勧告。総務省が勧告に従わなかったため、市は11月に大阪高裁に提訴。大阪高裁は201月、泉佐野市の訴えを棄却した。2月に上告、国の決定を取消す最高裁判決となった。

 自治体は「法的根拠のない国の通達に従う義務はない」ので、最高裁判決自体は正当としても、裁判官の1人が泉佐野市のやり方に「眉をひそめざるを得ない」と苦言を呈したように、制度そのものに問題がある。

奪い合いではなく

 総務省は85日、19年度の「ふるさと納税に関する現況調査結果」を発表した。寄付総額は4875億円(18年度5127億円)で、7年ぶりに前年を下回った。高額返礼品規制の影響とされる。内容を見ると、ふるさと納税の募集に要した費用は2275億円で46.7%を占める。純枠寄付額は半額にしかならない。

 寄付額第1位は、泉佐野市で185億円(前年度は497億円)。税収減の自治体は政令指定都市都と特別区が多い。横浜市が1位で145億円、特別区は保坂展人区長の世田谷区が49億円。小規模自治体で、ふるさと納税に依存しているところもあるが、税の奪い合いは止めないといけない。

 クラウドファンディングを活用した地場産品の販売など、本来の寄付募集が筋。根本的には、地方交付税の増額など税制改正が必要だ。


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