厚労省は7月17日、「2019年国民生活基礎調査の概況」を公表した。相対的貧困率は前回より若干下がったが、高止まり。今回は18年時点であり、新型コロナの影響で現実はもっと深刻だ。
厚労省は3年ごとに国民生活基礎調査を行い、相対的貧困率を公表している。貧困線は、可処分所得の中央値の半分であり、今回は127万円。貧困線に満たない世帯員の割合(相対的貧困率)は15.4%で前回15年と比ベマイナス0.3ポイントだ(OECD新基準では15.8%)。日本人の約1900万人=6.5人に1人は貧困状態に置かれている。
深刻な1人親世帯
子どもの貧困率は13.5%で、前回15年と比ベマイナス0.4ポイント(OECD新基準では14.0%)であり、人数にすると約260万人に達する。一番高かったのは12年の16.3%であり、それと比較すると3%弱下がっているが、主要先進国では米国に次いで高い。
子どもの貧困は親の貧困であり、労働不足で雇用改善があったので貧困率が下がったとは言え、子どもの7人に1人が貧困状態にある。
1人親家庭は相変わらず深刻だ。貧困率は48.1%で、前回15年と比ベマイナス2.7ポイント(OECD新基準では48.2%)。2世帯に1世帯が貧困状態に置かれている。16年時点で、母子家庭は123.2万世帯、父子家庭18.7万世帯である。
貧弱な政府の対策
政府は、新型コロナ対策として児童手当受給世帯に「子育て世帯への臨時特別給付金」として、児童1人につき1万円支給している。1人親世帯に支給されている児童扶養手当を受給している世帯等には「ひとり親世帯臨時特別給付金」として第1子5万円、第2子以降は3万円を給付している。
自治体によっては、それぞれに上積みしているところもあるが、国の給付は1回きりである。
しかも、児童扶養手当は所得制限が厳しく、支給基準額も低い。前年所得を対象に8月に申告、審査を経て翌年1月支給が原則である。
児童扶養手当を受給していないコロナ禍で減収になった人も臨時特別給付金の対象とすることにはなってはいるが、児童扶養手当が受給できるとは限らない。新型コロナ感染のため強行された一斉休校で給食がなくなったり、休職・休業等で減収になった親は多い。悲惨な児童虐待も絶えない。児童手当(子ども手当)や児童扶養手当の抜本的改善は急務だ。
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