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  4. 2020.09.22
少年法改悪の「答申」
厳罰化の流れ止めよう

 
少年法改悪・厳罰化の方向が、また打ち出された。法制審部会がまとめた骨子は、少年の社会復帰を困難にするもので、次期通常国会に法案提出されても、成立させない世論づくりが急がれる。

 法制審部会の骨子は、最大の焦点だった適用年齢の20歳未満から18歳未満への引下げを見送る一方で、18、19歳は厳罰化の内容だ。骨子は法相に答申され、法務省は来年の通常国会に改定案を提出するという。

立直り支援こそ

 骨子は、罪を犯した少年を全て家裁ヘ送り、家庭の事情などを調べて保護処分を決める現行制度は維持するとした。少年事件は、虐待や貧困など家庭環境が背景にあるケースが多い。立直りには、事情に応じた支援が必要というのが少年法の精神であり、制度の維持は当然だ。

 問題は、家裁が刑事処分相当として検察に逆送する事件の対象を広げたことだ。現行は、16歳以上で人を故意に死亡させた重大事件が逆送の対象だ。18、19歳はこれに強制性交等や放火、強盗などを加え、起訴後はこれまで禁じてきた実名報道も可能とする。

 18、19歳を「十分に成熟しておらず変わる可能性が高い」とし、適用年齢を維持しながら、大人と同様の刑事罰を科すというのは矛盾しているというべきだ。

政治決着に追随

 部会は少年法見直しを2017年から議論してきたが、適用年齢引下げについては結論が出なかった。そこで与党が乗り出し、適用年齢引下げを主張する自民党と、更生重視の公明党が妥協点としたのが、「適用年齢引下げ見送り、18、19歳の厳罰化」だ。

 部会は、政治決着に追随する形で厳罰化を決めた。異例であり、専門的立場で検討する任務を放棄したと言われても仕方がないだろう。

5度目を許すな

 一連のオウム真理教事件以来、厳罰化・重罰化の流れがあり、少年司法にも反映している。

 2000年以降、@少年審判への検察官関与制度の創設、A重大事件を犯した少年を原則として検察官送致とする制度の創設、B警察調査の導入、C少年院送致年齢の引下げなど、少年法は4度の改悪が行われた。

 この動きは、少年法が目指す「少年の健全育成」や「成長発達権の保障」より、社会の処罰感情・応報感情が反映したものだ。自民党が執拗に主張する適用年齢の引き下げは、今回は挫折したが、法制審部会の骨子のように厳罰化の流れは変わらず、これを止めなくてはならない。

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