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  4. 2020.10.13
菅内閣の「基本方針」
公助の強化こそ必要なのに

 9月16日に発足した菅義偉内閣は、初閣議で「我々の目指す社会像は自助・共助・公助そして絆」「行政の縦割りや前例主義を打破し、規制改革を全力で進める」とする基本方針を決定した。

 内閣の基本方針とその後の記者会見で首相は新型コロナ対策やアベノミクスを継承するとし、日新しい所では「デジタル庁」新設、不妊治療への保険適用実現にふれた。またこれまでの発言から地方銀行の合併再編、中小企業の再編、携帯通話料金の引下げが取り沙汰される。

勤労者に負担転嫁

 首相の言う「自助・共助・公助」は2010年自民党の綱領にあり、そもそも1950年の社会保障制度審議会の勧告にも見られる。戦後の社会保障を貫く基本理念で新味はないとする向きもあるが果たしてそうか。

 男性稼得者が容易に職を見つけ定年退職まで家族を養い続けられる世の中は、とっくに崩された。「共助」の中心的制度たる年金、医療、介護等の社会保険は少子高齢化の影響もあって持続不可能になっている。

 だが、自公政権は法人税率を引下げる一方で消費税を引上げ、勤労者への負担転嫁を強行。自助・共助が困難な今日こそ、公助の仕組みを強化し再設計せねばならない。そのような時代の自助の強調は保守を装う新自由主義に他ならない。

 デジタル庁の創設を進言するのは竹中平蔵氏だ。日本は北欧や韓国に比ベデジタル化が遅れているのは事実。その最大の理由は、有権者に根強くある政治への不信だ。情報漏えいや違法な現金引出しへの不安払しょくが先決だ。

アベノミクス継承

 アベノミクスの三本の矢の継承についても反省無く語られるが、それで良いか。

 第一の矢、金融政策は深掘りの余地に乏しく、出口戦略は更に見通し難い。第二の矢、財政政策では積み増される国の借金が国民に将来の増税や社会保障の削減への不安を与えている。第三の矢の成長戦略については何の成果も挙がらず、例えば国家戦略特区はお友達企業を潤すだけに終わった。

 また「3社による寡占」と指弾される携帯電話事業だが、新たに参入してきた楽天の三木谷浩史氏の意向はないか。

 地方銀行の合併再編や中小企業の再編、最低賃金引上げについても、構造改革派の財界人の入れ知恵と報じられるが、地方経済をかえって弱める可能性さえある。

 経済にうとい菅首相が、食い物にされる可能性は高い。

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