原発の使用済み核燃料から出る高レベルの放射性廃棄物(核のゴミ)を地中深く埋める最終処分場の選定を巡り、年内にも北海道の2つの自治体で第一段階の文献調査が始まる見通しになった。
文献調査に応募した寿都町と神恵内村について、NUMO(原子力発電環境整備機構)はデータをチェックし、調査に支障がないと確認したようだ。
調査は約2年の「文献調査」、次にボーリングなどを行う「概要調査」に約4年、第三段階の「精密調査」は地下深くに施設を造って約14年かけて調べる手順になっている。
交付金が目当て
文献調査には20億円、概要調査までいけば90億円の交付金が立地する、しないに関わらず支給される。文献調査に名乗りを上げた寿都町、神恵内村の首長は交付金目当てであることを隠さない。
北海道には「核抜き」条例がある。寿都町で応募の動きが表面化した8月、鈴木直道知事は条例を念頭に「札束で頬をたたくようなやり方」と文献調査の仕組みを批判。概要調査に進む際は「反対する」と明言したが、最終処分法は「意見を尊重」としているだけで、「中止させる」担保にはならない。
寿都町では応募に反対する水産加工業者の若手らが、調査応募の賛否を問う住民投票条例の制定を求めて有権者214人分の署名を10月7日に提出した。必要署名は51だから大きく超えている。
だが、片岡春雄町長は8日に応募を表明、9日には手続きをとった。住民無視の暴挙だ。泊原発のある泊村に隣接する神恵内村では、表立った反対運動はないという。原発立地村の扱いで交付金があり、原発関連の仕事についている人が多いことも、反対の声を上げにくくさせているという。
10万年も安全に
20億円が欲しい過疎地の事情はあろうが、仮に最終処分場が建設されたら、高レベル廃棄物が無害化する10万年の間、安全に保管できる保証は全くない。
火山列島で至る所に断層があり、大規模なプレート地震が起き、地下水豊富な日本列島に高レベル放射性廃棄物を地下処分する適地などあろうはずもない。
本紙でもたびたび主張しているように、原発のゴミを増やさないために全原発を直ちにストップし、これまでにできた放射能ゴミは危険性を高める再処理など行わず、原発敷地内で、国と電力会社が責任をもって半永久的に管理するしかないことは明白だ 。
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