ジャーナリスト小笠原みどりさん講演<4>
スノーデンがインタビューで言っていたのは、政府が許認可権を使って通信事業者に協力させているということだ。
つまり、政府側からNTT、ATNTに許認可を与えるに当たって施設の中に部屋を一つ用意して、「ケーブル内を通過する情報を全てコピーして、我々の部屋に流れ込むようにケーブルを引いてほしい」と頼む。「経費はもちろんこちらが持つ」と言う。
事業所側としては許認可がほしいから受け入れて協力する。スノーデンの言葉では自然な経済的なインセンティブが働いている。政府から強制するとかいうことでなく、みんながこぞってNSAのシステムに協力したくなるような仕組みが経済の上からもできている。だからこそ、これだけの巨大な監視システムがどんどん広がりつつある。
世界の他の地域にもたくさんの海底ケーブルが通っている。その光ファイバーのアメリカの上陸地点にはほぼこういった回線を引き込んで、まるごとコピーして大量の通信がどんどんNSAに流れ込んでいる。このシステムがいったんできてしまうと価値判断ができなくなってしまうことが一番問題ではないかと(スノーデンは)言っていた。
日本のパシフィックエクスプレスの場合は、「ストームブリュー」というコードネームが付いている。基本的に全て秘密だ。私はこのように分かったふうにしゃべっているが、企業名も協力企業も秘密、ルートも、どこで盗聴しているかも秘密、チョークポイントと呼ばれる盗聴ポイントは暗号、コード名がつけられている。
チョークは「窒息」と言う意味だが、つまり私たちの情報が窒息させられている。それを「窒息ポイント」と名付ける感覚も見上げたものだと思うが…。それを扱っている人たちの精神の一種の在りようを示しているのではないかと思う。また、「フェアービュー(いい眺め)」とか、国境の境目を越えた情報通報者が世界中に居る。
大手IT企業9社のサーバーから直接転送する。これはコード名が「プリズム」と付けられていて、これをスノーデンが最初に暴露した2013年は、ある意味で最も反響を呼んだニュースだった。
と言うのは、「私たちは政府に監視されている」と言うとき、インターネットを使って政府が出てくるものはない。だから政府がどうやってインターネット回線に侵入できるのかと考えるが、実際には我々が慣れ親しんでいるヤフーとかグーグル、アップルといった巨大IT企業が政府にいろんな情報を転送しているということだ。
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