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2017.02.28
築地から豊洲への移転問題 
汚染地購入の経過と責任<下>

  
  「議事録」ない公文書問題も露呈


 石原慎太郎元都知事は昨年10月14日、用地取得の経緯などに関する都からの質問に、「私自身は全く関与しておりません。全て浜渦(武生・元東京都副知事)に任せておりました」と回答した。
 浜渦氏は古くは国会議員時代の石原氏の秘書を務め、石原氏が都知事に転身後は特別秘書や副知事として石原氏を支えた人物だ。
 浜渦氏は2月2日放送の「ゴゴスマ」で都議会特別委員会や、設置が決まった百条委員会について、招致されれば出席する意向を表明したという。石原氏の特別委参考人招致は3月18〜20日のいずれかに行うことが決まっている。

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住民による行政訴訟(2014年5月提訴)で原告は、都が石原氏に土地購入代金約578億円を請求するよう求め、豊洲の土地購入に関する議事録などの公開を求めている。
 こうした中で小池百合子知事は昨年11月25日の会見で、9月に表明した「情報公開」の方針に沿って、「ようやく海苔弁の海苔を剥がす状況になった」と述べた。豊洲市場の「消えた盛り土」に関する石原元知事の対応を聞かれての説明だ。
 そもそも、安全性へのリスクが指摘されていた豊洲の東京ガス工場跡地に、生鮮食品を扱う市場の移転先として、誰がいつ、どのように話し合い、決定し、購入したのかという問題がある。豊洲用地の所有者だった東京ガスと都との交渉記録について、これまで舛添要一都知事時代までの間、情報開示しても「全面黒塗り」状態で出てくるため、「海苔弁」などと批判されていた。
 また、都に関する情報公開問題で昨秋、豊洲市場の盛り土問題で、地下空間を設けることを決めた会議の議事録などが残っていないことが発覚した。
 なぜないのか。東京都には、所管する課長の判断(権限)で廃棄できる規則があるから廃棄されたと言えるだろう。つまり、行政(都)の公文書について作成し、残して管理するルール(条例)が整備されていないという基礎的な問題がある。
 小池知事は、公文書管理問題について2月1日の都政改革本部の会議の冒頭挨拶で「条例化の準備を進めている」と述べたが、その内容は今後の課題だ。

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 国民の知る権利を守り、歴史を検証するには行政文書の作成・管理、情報公開の仕組みが行政(国・自治体)に求められる。
 国の公文書管理法が施行されたのが2011年。その10年前、01年に情報公開法が施行された。本来なら、公文書の作成・管理があって情報公開できるのであるから、順序が逆になった。「ない」ものは公開も、検証もできないからだ。

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