非正規労働者が全労働者のほぼ4割を占め、正規・非正規の待遇格差の是正が大問題になっている。安倍晋三首相もどこまで本気かは大いに怪しいが「非正規という言葉をなくしたい」と述べざるを得ないほど、深刻な問題になっている。
ところが、なんと「カトリシズム」の精神で教育を行うとしている白百合女子大学が、「隣人愛」等の教義を忘れ去り、現状の動きや議論を全く無視して、非正規教員である非常勤講師の給与だけをカットしようとしている。格差縮小どころか、さらなる拡大を目指すと言う。さすが、「あの世」のことを一番に重視し「この世」を二の次にするカトリックだ。 繰り返すが、給与カットの対象は、非常勤講師だけである。正規の教職員の給与はいまのところカットの対象になっていない。その理由が振るっている。「正規の教職員の給与のカットは、労働条件の不利益変更≠ノあたり、現行法上、実施が困難だから」という。
要するに、一年契約の非正規であって、弱い立場の非常勤講師の給与なら簡単にカットできるので、先ずはそこから手を付けるというのだ。 だが専任教職員の皆さんも、うかうかしていられない。団体交渉の席上で浅井隆弁護士(第一芙蓉法律事務所)が、「専任教職員の給与をカットすることも考えている」と明らかにした。そして「専任と非常勤は同一労働ではない」「もともと1年契約だ。労働条件の変更はその都度可能だ」「不満ならヤメろ」と言い放った。労働契約法20条の均等待遇の精神など、どこ吹く風。まるで奴隷扱いだ。
低賃金の非正規教員である非常勤講師の賃金を平均で20%もカットしたら、どんなに痛いことか、普通の人間なら誰でもわかる。だが田畑邦治学長を始めとした大学執行部はこれが理解できないらしい。
ちなみに白百合のHPでの「学長メッセージ」にはこうある。「本学が大切にしているのは『すべての人は平等で、尊敬すべき存在である』という考え方です。…民族や宗教、性別などによる差別をしない、誰もが兄弟姉妹であるということです」。でも、専任と非常勤の待遇差別は限りなく大きくてよろしい、と。
全くもって大した人たちだ! (K)
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