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2016.11.22
いい加減な放射線出前授業 
保護者指摘で授業中止

  

 文科省から委託を受けている一般社団法人エネルギー・環境理科教育推進研究所が行う「放射線出前授業」は文科省の調査で昨年は全国226カ所で行われている。その出前授業が9月26日に大阪府堺市の小学校で行われた。
 講師は元中学校長の理科教師で、肥料のカリウムの放射線を例に出し「君たちの体にも放射線がちゃんと入っている。良かったねえ」とか、「なんかあった時(原発事故)は、鉄板だらけの服を着て歩いちゃう」等の発言をしており、その公開授業を見学した保護者から「自然界の放射線と人工の放射線との違いを明確に説明せず、放射線は怖くない、人体の影響は少ないと誤解を生じさせる可能性がある」と疑問の声が上がった。
 また、講師は、関西電力の原発は北陸地方に立地しているにもかかわらず、「関西にも原子力発電所はありますね……」等のデタラメな授業をしている。
 それに対して保護者が、「放射線について、子どもに誤った知識を与える」として学校や市議会各派に申し入れを行い、10月26日の堺市議会の特別委員会で、教育委員会は内容が非科学的なものであることを認めた。 そして今後、放射線についての正しい知識を子どもたちが持つように授業をやり直すことを確認し、10月以降に予定していた6校は出前授業を中止した。文科省もまた「誤解を招く表現だった」として委託先の団体を指導した。そしてこの出前授業の問題は朝日新聞や朝日放送TVでも報道された。
 今回は公開授業であり、どんな内容の授業が行われるか関心を持った保護者が、録画をしていたのでこのデタラメな授業内容が明らかになったが、大阪府下の小中高を始め全国でこのような授業が多く行われている。  その内容も問題だが、何よりも現場教師が放射線や原発についての正確な知識を持ち、鋭い人権感覚を持たねばならない。保護者達は次に、正しい知識を得るための学習会「放射線ってなあに?」を企画している。(大阪)
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