豊中市議会議員 木村 真
昨年9月、私は学校法人森友学園と国(財務省近畿財務局)が締結した国有地の売買契約書を、行政文書公開手続きに則り、開示請求しましたが、金額や一部の条文が黒塗りされ、開示されませんでした。今年2月8日、この決定の取り消しを求めて国を相手に裁判を起こしました。この提訴の報道が一つのきっかけとなり、一連の「森友学園疑惑」が明るみに出ることとなりました。
不透明な国有地売却
疑惑の核心は大きく2つ。1つは、国有地の売却をめぐる問題。1億3400万円という極端に低い売却額(平米単価1・5万円は、道路を挟んだ豊中市の公園用地のなんと10分の1)は、いったいなぜなのか? 「地中から大量のごみが見つかっため、撤去費用8・2億円を減額した」との説明ですが、それほど大量のごみを掘り出していないことはすでに森友側も認めています。減額前の土地鑑定評価も路線価より2割以上も低く、そこからさらに「ありもしないごみ」を口実に8・2億円も減額しているのですから、全くむちゃくちゃなやり方です。
15年の9月3日、安倍首相が迫田理財局長(当時)と面談。翌4日には戦争法案の国会審議が大詰めを迎える中で大阪入りし、同じ4日には近畿財務局内で国有財産統括管理官らが森友学園の施工業者と面談しています。5日には安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演、籠池泰典理事長によると、その折に昭恵氏は首相からだとして100万円を寄付したとのこと。まさしく「疑惑の3日間」です。
学校設立をめぐる疑惑
疑惑の核心2つ目は、学校設立の認可をめぐる問題。14年12月、大阪府の私学審が、「瑞穂の国記念小学院」の設立について審査しますが、「財政面での不安がある」「財務資料が楽観的すぎる」「カリキュラムが煮詰まっていない」「偏った教育ではないか?」等々の疑問・異論が噴出。不認可が当然という議論の流れでしたが、事務局(府私学課)
と審議会会長が、「来月改めて議論することとし、今日のところは継続審査で」と繋ぎ止めます。 翌15年1月、この件だけのために臨時会を開き(過去8年間でこれ以外は一度も開かれていません)、再び審査。
この時も各委員から前回同様に異論・疑問が示され、ある委員は「こんなやり方で、後々新聞沙汰にならないかと心配だ」とまで発言しています。ところが、この日もやはり、事務局と会長が「財務状況を改善し、今後の当審議会に進捗状況を報告する」という条件付で、「認可適当」と議論を強引にまとめてしまいます。
政治的関与を明らかに
そもそも、小学校を新たに設立するために借り入れをしてはならない規定だったのが、森友の要望を受けて借り入れも可と基準が引き下げられたという事実もあります。松井一郎大阪府知事の選挙運動に籠池夫妻が関わっていた事実も明るみに出ており、設置認可にまつわる松井氏と大阪維新の関与も焦点となっています。
国有地の売却も学校設立の認可も、極めて不自然なやり方であり、役人だけが独断で進めることなどあり得ません。何らかの政治的な力が働いたのか?ということは確実。国有地売却では安倍昭恵氏が関与したことほぼ明らかとなっており、今後の焦点は安倍首相本人の関与です。学校設立認可については、松井府知事と維新の会の関与には疑いの余地はありません。3月23日に森友学園の籠池理事長が国会に招致され、証人喚問を受けました。自民党・安倍政権としては、真相究明するつもりなど最初からなく、籠池氏が信用ならない、いい加減な人物であると印象付けて、「籠池叩き・森友バッシング」で幕引きを図ろうという、「トカゲのしっぽ切り」作戦のつもりだったのでしょう。
ところが、証人喚問では、安倍昭恵氏を通じて「安倍晋三からです」と100万円を手渡された件についての、克明で詳細な証言や、総理夫人付の公務員が、森友側の要請に応じて具体的に動いた事実も明らかになり、政権側の思惑は外れ、疑惑はますます深まりました。純然たる民間人である籠池氏を、偽証罪が問われる証人喚問する一方、国家公務員である当時の財務省理財局長や近畿財務局長は単なる参考人。安倍昭恵氏に至っては、公的な場で一切語らないという異常さに、市民が気づいています。
幕引きは許さない
疑惑は何ら解明されていません。市民・国民の財産である国有地をタダ同然で叩き売った。しかもその相手先は、子どもたちに教育勅語を暗唱させ、児童虐待やヘイト発言がまかり通る、いびつな「愛国教育」が行われている学校法人。法人理事長は憲法「改正」をめざす「日本会議」という団体の関係者であり、首相自身はじめ安倍政権の閣僚の4分の3が日本会議議連に所属しています。
私たち「瑞穂の国小学院問題を考える会」メンバーの現職の学校教員は、「森友ほど極端ではないにせよ、“森友的な教育”は、今や公立学校にもじわじわと浸透しつつある」と話しています。
日の丸・君が代の強制、「愛国心」の強要、道徳教育の教科化……。第一次政権で教育基本法を改悪して、改憲を目指す安倍晋三は、学校教育への介入に執念を燃やし、森友学園は、彼にとって「全国の模範となるモデル校」だったのでしょう。森友学園問題で、「何らかの」政治的な力が働いたことに疑いの余地はありませんが、「何らかの」とは、他ならぬ安倍晋三からの圧力だったのではないかと、私だけでなく多くの人が強く疑っています。
籠池氏の証人喚問での「幕引き」などとんでもない! 疑惑解明と真相究明を、さらには安倍政権の退陣を求めていきましょう!
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