日本政府が9月11日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化を決定すると、台湾からは巡視船、中国国家海洋局からは海洋監視船・海監から成る巡視艦隊が相次いで付近水域に到達して、巡視活動を行った。中国外務省はバン・キムン国連事務総長に「領海基線」の資料と海図を提出したと発表した。
また、フィリピン政府は12日、南シナ海の名称を「西フィリピン海」に変更し、国連を含む関係機関に公式に必要な措置を取るよう要請した。領有権をめぐる対立が東アジア地域で表面化しているが、オバマ政権がアジア・シフト外交を明確に打ち出し、各国との軍事演習を問題海域で続けている中で起きている。
日中間の領有権問題は国交回復以前から存在していたが、中国政府は「主権はわが国にあるが、係争は棚上げにし、共同開発する」「東シナ海を平和、協力、友好の海にする理由は百もある」方針を堅持してきたが、日本政府の国有化を受けて対抗措置をとった。
また、各地で反日行動が起きている。在ニューヨーク日本総領事館前でも中国系住民のデモが起き、9月18日の柳条湖事件に合わせて街頭活動がくり広げられた。
「歴史の清算」が言われ続けている。しかし、日本はアジア諸国との間でこの問題を未解決のままにしてきた。こうした条件下に、日米安保、米フィリピン安保など二国間軍事同盟が「米の対中戦略」に組み込まれている。米国のアジア・シフト外交に日本の軍事的関与を拡大、肩代わりさせる意図があることを見抜かなければならない。
|