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2012. 10.16
コーカサス
「凍結された紛争」地帯


 
 10月1日、南コーカサスに位置するグルジアの総選挙で野党「グルジアの夢」党が勝利(150議席中、83を獲得)03年から継続するサアカシビリ政権は後退、来年元日には議会と新首相が権力に就くことになる。


 旧政権は9年間にわたりIMFに忠実な政策を実行、基幹産業・金融機関・教育・医療制度の全面民営化を遂行し、支配エリートの「楽園」「民主主義の灯台」と呼ばれる体制を作り上げた。人口の23%が移住労働者としてEU、ロシアで働き、国民経済は送金頼みだ。


 しかし、新政権指導者のイバノシビリ氏はグルジア一の金持ち。90年代のロシアの民営化時代に巨万の富を築いた実業家だ。現在、グルジアはロシアとの外交関係はないが、新政権はロシアとの国交正常化、NATO加盟を主張している。


 コーカサス山脈は黒海とカスピ海を挟んだ位置にあり、険しい。北側にチェチェンやダゲスタン、南側にグルジア、アゼルバイジャン、アルメニアがある。この地方は政治的解決策が欠如する「凍結された紛争」地帯と言われる。
 グルジアでは08年にアブハジアと南オセチアが分離独立、アルメニア・アゼルバイジャン紛争にも密接に関わっている。トルコと国境を接することからイラン・シリア問題でいっそう不安定状態がつくり出され、チェチェン指導部が新政権を歓迎するなど情勢は複雑だ。国際政治の上ではNATOとロシアの対峙地帯でもある。

 
 グルジアの進歩勢力は、NATO・国際資本とともにロシア現政権をも警戒している。

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