昨年3月半ばから危機が報道されるシリア問題について、クロアチア訪問中のクリントン米国務長官は10月31日、「シリア国民評議会(SNC)はもはや反政府勢力指導者とみなすことはできない」と述べ、現在のシリア反政府勢力を改編し、米国が積極的に介入し、対空兵器を含む兵器を提供していく可能性を示唆した。11月初旬にはシリア反政府諸勢力がカタールに集まり、情勢は米・NATO・湾岸諸国が後押しする「シリア自由軍(FSA)」を通じて、アサド政権転覆を目指していることがいっそう明らかになってきた。
FSAはサウジアラビア、カタール、トルコなどから資金・兵器・軍事訓練を提供されている対トルコ国境では9月に砲撃で死者が出た。民間人が収容されているトルコ領内の難民キャンプには民兵や外国情報機関が入り込んでおり、難民キャンプに関する国際規則の違反が公然化している。シリアへの介入はその地政学的位置からレーガン時代から画策され、イランの孤立、弱体化と一体化している。今後の動向はシリアの@政教分離政策、A天然ガスを軸に見ていかなければならない。
NATO加盟国のトルコ現政権はイスラム原理主義を温存し、対アサド政権の急先鋒で、当初からシリア反体制派を政治的に庇護、出撃基地として領土を提供している。一方、脱原発を図る欧州にとって天然ガスへの関心が高い。しかし、タルトゥス港にはロシアの海軍基地があり、利害が対峙している。
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