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2014.03.04
 
ウクライナ 政権転覆と国の分裂の危機


 
 昨年11月のヤヌコビッチ政権によるEU加盟に向けた連合協定署名準備の停止以来、街頭抗議行動の続いていたウクライナで2月23日、武装した野党勢力が首都を制圧、職権乱用罪で服役中のティモシェンコ元首相が釈放され、現職大統領が弾劾、内相・検事総長が解任され、国会議長が大統領代行を務めることになった。


 18日から23日までの首都での流血事態で80人超が犠牲になった。一方、東部ハリコフ市で与党地域党の党大会が開かれ、「憲法秩序」を東・南部地域で守るという提案を支持、国家は分裂の危機に直面している。
 この間、各地の市や町で20以上のレーニン像やソ連軍兵士の記念像がクレーンやトラックを使って撤去された。以前から指摘されてきたが、外国の情報機関などから支援されたネオナチ勢力がデモ隊に紛れて治安部隊に発砲し、銃撃による死者が多数発生した。


 すでにデフォルト危機にあるウクライナのEU加盟には加盟国側からの反対もある。EU志向を表明した新政権指導部は「天然ガス価格引き下げ・通貨切り下げ・政府予算削減」という欧州側の支援条件から出てくる政治課題と向き合うことになる。


 東部は工業地帯、ハリコフ市は航空機・トラクターなど機械工業や兵器製造の中心地であり、ソ連時代はモスクワ・レニングラードに次ぐ第三の都市であった。事態の背景に人口4500万人の同国の市場・資源・輸送網支配をめぐるEU・米とロシアとの対立、かつての核保有国としての核管理問題がある。

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