3月末、オバマ大統領がサウジアラビアを訪問、アブドラ国王と会談し、中東和平問題、とりわけシリアとイランへの対応策を中心に話合った。アサド政権打倒を目指した「シリア危機」は3年間続いており、数百万人もの難民を生み出している。
シリアの反政府勢力を公然、また非公然に支援しているのは米・NATO、トルコ、サウジアラビア、カタールであるが、反政府勢力は分裂、「政権転覆(レジーム・チェンジ)」戦略は転機を迎えている。一方、シリア政府と国民が抵抗を続ける中、政権側をロシア・中国・イランさらにBRICS諸国が支援、情勢はグローバルな展開へ向かっている。
シリアの与党は「アラブ社会主義バアス党地域指導部」。1940年代に仏から独立するための抵抗運動から、植民地として分断されたアラブ諸民族の「復興」「再生」を意味する「バアス」を党名として生まれた。世俗的民族主義を掲げ、イスラムの各宗派や他宗教の信奉者をも組織している。
また、現憲法は経済分野の「あらゆる形態の搾取を終焉させる目的の計画的社会主義経済」を明記しており、50年代から同国では共産党と共闘し、現在もシリア国民進歩戦線で連携している。マスメディアがバッシャール・アサド現大統領を「独裁者」と強調するのもこうした背景からきている。
米欧はNATO加盟国でシリアと国境を接するトルコを先頭にしてシリア危機を長引かせ、国土を荒廃させ、アサド政権の健全化を阻止し続けている。
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