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2014.06.17
 ユーフラテス川
トルコが遮断、下流は水不足


 
 トルコ政府は約2カ月間、ユーフラテス川の下流への水供給量を減らし続け、5月に完全遮断を決定した。トルコ政府の立場は「ユ川は国境の河であり、国際河川ではない。だから国際法に拘束されない」である。一方、国連総会は1997年、灌漑・飲料・発電の利用に関する法について「国際水路非航行的利用条約」を採択しており、今回の決定は下流域住民には国際条約違反である。事実、シリアの貯水池の水位は下がり始め、発電にも支障が出ている。
 同国第二の都市アレッポでは砲弾や爆撃数は減ったが、飲料水が不足している。シリア北東部にある2カ所のポンプ・ステーションはアサド政権と対立する反政府勢力が支配、トルコ政府の決定で状況はいっそう複雑化した。


 チグリス・ユーフラテス川を巡る紛争は1975年にも起きた。トルコとシリアのダム建設により、イラクへの流水量が減少、3カ国の緊張が高まる中、合意によって紛争を回避した。
 もともと国際的な水条約の歴史は紀元前2500年にさかのぼり、メソポタミアの都市国家間の水紛争を解決するための協定に始まる。さらに今日の水資源の管理・保全に関する法の基本であるローマ法がハムラビ法典に拠っていることなど、この地方は法体系の原型を形成してきた。


 国際河川の水資源をどのような形で関係国に分配するかの問題は平和の中でしか解決できない。事実、この危機を利用して米・NATOがシリアへの軍事介入をうかがっており、「水戦争」に進もうとしている。

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