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2016.12.27
内戦ではない
7年目に入ったシリア



 
 「騒乱」は2011年春から始まった。シリア政府軍と反体制派との武力衝突である。しかし、時間の経過とともに米主導「政権転覆」戦争のシナリオが明確になってきた。2016年末現在では、「IS=ダーイシュ掃討」のもとに米、英、仏、オランダ、ベルギーなど米/NATO軍が空爆、ロシアも参加している。一方、IS側は世界80カ国超から集められた複数の傭兵集団であり、トルコ、サウジアラビア、カタールは「アサド政権打倒」のためにこうした勢力に資金援助・武器供与を通じて介入している。商業メディアが伝えた「穏健派」「過激派」の区別は初めから実体性のあるものではなかった。さらに国境を接するイスラエルがゴラン高原から空爆している。メディアが政権非難目的で「化学兵器使用」も流したが、国連調査によって否定された。


 戦争と国際的制裁という情勢下の人々の暮らしは悲惨である。死者数は数十万人、数百万人が国外難民になり、その数倍の人々が国内移住を余儀なくされている。


 シリアはメソポタミア文明以来の長い歴史を持つ国だ。古代ギリシャ・ローマ帝国、アラブやモンゴルの王朝、そしてオスマン・トルコによる支配を生き抜いてきた。仏植民地下の近代史は抵抗闘争の歴史であった。民族・文化・宗教も多様だ。アレッポ、ダマスカス、パルミラ遺跡、北部古村落群などはユネスコ歴史遺産であり、現在は「危機遺産」に指定されている。
 16年末、最大都市アレッポで政府軍とISが死闘を続けている。

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