5月7日のフランス大統領選挙決選投票でエマニュエル・マクロン氏(39歳)が勝利、右派「国民戦線」のマリーヌ・ルペン氏は敗退した。マクロン氏は国内政策では市場原理追求、緊縮財政、公務員大幅削減、規制緩和、民営化路線、外交面では親米・親イスラエル路線を進めることになる。一方、敗北したとは言え、「国民戦線」は伸長、一千万票超を獲得した。
今回の選挙では伝統的な二大既成政党が沈滞、決選投票を闘った候補者は共和党・社会党のいずれにも属していなかった。マクロン氏はオランド政権下で2014年、経済相となり、16年に辞任、「左派でもない、右派でもない政治」を掲げて団体「アン・マルシェ(前進)」を結成し、大統領選に出馬した。国民は長期の経済低迷、高失業率、治安の悪化、移民流入、国民アイデンティティ問題に直面しており、政治の既得権益層に対する反感は高い。しかし、低投票率・無効票の多さは有権者の無力感を示した。フランスではいずれの政党が与党になっても「EUの指令」に従い、新自由主義政策がとられてきた。
一方、第1回投票で敗北(4位)したが、ジャンリュク・メランション候補(左翼党)は米によるシリア攻撃反対、NATO脱退とEU条約再交渉を訴え、解雇制限・最低賃金15%引き上げ、年金支給開始年齢の60歳への引き下げを公約に掲げた。マスメディアは「脅威」「極左」「共産主義者」と報じた。
6月には国民議会(下院)選挙が予定されており、各政党の動向が注目される。
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