2011年7月26日

    廃炉は浜岡から
    電力は足りている  直ちに原発停止を  
                       ── 静岡で反原発全国集会


 直ちに浜岡原発を廃炉にしようと7月16日、「原発震災」を97年から警告していた神戸大学名誉教授の石橋克彦さんを講師にした原発震災講演会、翌17日には「廃炉は浜岡から」反原発全国集会が静岡市内で開かれた。主催したのは、浜岡原発を考える静岡ネットワーク(浜ネット)、これに5月22日に結成された反原発自治体議員・市民連盟が共催。両集会に延べ1500名が参加した。


石橋講演は140分にわたり、「浜岡廃炉は喫緊の課題」と
強調した。
 炎天下の静岡市常盤公園で開かれた17日の集会は、鈴木卓馬・浜ネット事務局長の司会で始められた。

 主催者を代表して、浜ネット代表の白鳥良香さんが、「半年をかけて本集会を準備したが、不幸にも福島原発の事故も発生してしまい、浜岡全機が停止していることは予期できなかった。しかし浜岡の危機は回避されていない。直ちに廃炉の世論を高めていこう」と挨拶。

 続いて、反原発自治体議員・市民連盟の福士敬子都議会議員、社民党党首福島瑞穂参院議員、元福島県知事佐藤栄佐久さんが挨拶した。

 佐藤さんは、自らの知事時代の体験を交え、この期に及んでも通産官僚が事態を繕おうとしていること、情報公開は民主主義の根幹であることを強調した。

 続いて浜岡原子力発電所運転差止請求訴訟の河合弘之弁護士、タンポポ舎の柳田真さん、全労協の遠藤一郎さんが挨拶した。

 
脱原発弁護士連絡会を結成

灼熱の中、全国各地の労組の旗などが林立した
 河合弁護士は、原発立地地域などの弁護士96人が16日、「脱原発弁護団全国連絡会」を発足させたことを報告。同会は「日本から全原発をなくすまで訴訟などあらゆる手段を尽くして闘う」ことを確認した、としている。さらに脱原発の延長線上に悠長な自然エネルギーを対置することの危険性を指摘し、直ちにすべての原発の停止が必要だと強調した。

 柳田さんも、「明日にも起こるかもしれない東海大地震を前にして、エネルギー転換の議論をしている場合ではない。原発がなくても電力は足りることを広げて、廃炉は浜岡からを実現しよう」と訴えた。

 遠藤さんは全労協として結成以来「反原発」を掲げていたが、具体的な運動が伴っていなかったことを反省して労働組合が先頭になって原発廃炉を目指すとあらためて決意表明した。

 集会は、「地震列島日本に建設された54基の全原発が原発震災を起こす危険は同じ、浜岡廃炉を突破口にして日本中の原発の廃炉を実現させるまで運動を日本中に広げていく」という集会決議を採択した。

 集会後、静岡市内をデモ行進。参加者は中部電力社屋前でシュプレヒコールを挙げ、決議の受け取りを拒否した中電ビルに決議をそれぞれ貼付した。

 
原発震災は加害  石橋克彦氏が力説

石橋克彦氏
 1997年から著書等で「原発震災」の警鐘を鳴らしていた神戸大学名誉教授(地震学)の石橋克彦さんの原発震災講演会は、「原発震災をくり返さないために」と題して、静岡労政会館ホール満員の中で開かれた。

 石橋さんはこの間、浜岡原発差止め訴訟で07年静岡地裁が原告敗訴の判決を出したとき、「判決の間違いは自然が証明するだろうが、そのときは私たちが大変な目に遭っている恐れが強い」と語っていた。

 講演は、核発電の仕組みから始まり、地震とは何かなど、学術的要素を含みながら今日的課題まで多岐にわたり、140分に及んだ。

 
【講演要旨】

 日本列島はユーラシアプレート、太平洋プレートなど4つのプレートの境界に位置し東海、東南海、南海地震という想定を超える地震が発生する。

 今回の福島原発の事故の主因は津波とされているが、それ以前に地震による配管損傷、冷却材喪失、圧力抑制室の破損による重大事故の発生につながったと思われる。

 「止める、冷やす、閉じ込める」の原発運用の3つのポイントの2つを欠いたのだから、06年の耐震設計審査指針(改定指針)に基づいて地震動で機能喪失はないとしていた原子力安全・保安院と安全委員会の審査のずさんさを根底から問わなければならない。

 さらに、保安院は3月30日に全国に対して津波に対する緊急安全対策の実施を指示した。これは64年に決定されている原子力委員会の原子炉立地審査指針を無視している。立地指針は「大きな事故の誘引となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと」が原則的に必要としている。全電源喪失が起こりうるようなところでは原発を造ってはいけないのだ。

 関西広域連合では、万一の敦賀湾での原発事故による琵琶湖水系の汚染に備えて他の水系導入を検討しているが汚染が琵琶湖だけにとどまらないことがわかっていない。原発立地自治体は補助金中毒によりだまされているが、加害者になるという自覚を持つべきだ。

       ☆

 講演会で挨拶した浜名湖西岸の湖西市長・三上元さんは「自治体がノーといえば原発は止まる」と強調した。



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