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2011年7月26日 |
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原発大震災 |
14年前の主張が現実に
元参議院議員 新社会党顧問 山口 哲夫さん
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■国会質問
今から14年前、私は参議院決算委員会で、巨大な東海地震が起きると浜岡原発は破壊され、それに放射能災害が加わると大震災になる。国の防災計画も全く役に立たない。従って「地震が起きる前に原発を止めるしかない」との趣旨で質問した。
しかし、政府は「安政の地震のマグニチュード8・4も考慮し余裕を持った耐震設計をしており、原子炉施設の安全性は確保しているから心配ない」と一歩も引かない。
これに対して、私は「政府が原子力産業会議に委嘱して作成した原発事故の想定には、東海第一原発で放射能が2%放出されると、人的被害は数百人が死に、数千人が被害を受ける。数百万人程度の要観察者が出る。物的損害は最高で農業制限地域が幅20キロから30キロ、長さ1000キロ以上に及んで、損害額は1兆円以上に達する、という報告だ。浜岡原発は4基だ。チェルノブイリの原発は浜岡原発4基の4分の1ぐらいの規模で、あれだけの事故が起きている。やっぱり地震が起きる前に原発を止めるしかない」と食い下がった。
この質問が、地震の発生場所は違うが、残念なことに見事に当たってしまった。
■公開討論
阪神・淡路大震災が起きた後も、原発と大震災との関係について議論すべきだと勧めても政府は受け入れようとしない。そこで私が主催し、公開の場での討論会とし、政府から責任者の参加を求め、2度にわたり「原発震災を未然に防ぐために」と題して討論会を開いた。
1回目は110人の参加者。浜岡原発を止める側からは神戸大学都市安全研究センターの石橋克彦教授。地震の被害と放射性物質による汚染が重なり、救援も妨げられる事態を「原発震災」と名付け警鐘を鳴らしていた。
政府側からは、原子力安全委員会委員の小島圭二教授他2名の教授と科技庁原子力安全委員会担当審議官の結城章夫他4人の政府関係者。報道関係者も多数取材に入り、3時間にわたって熱心な討論を行ったが、国側は「安全審査の基準は、最高の科学技術の水準に照らして決めている」として、「見直すことは考えていない」と述べるにとどまった。
2回目の討論会は、事前に科技庁へ示した質問に沿って進められたが、その後の報道に大きな影響を与えることになった。政府側が「原発の耐震設計審査の見直しを」示唆する重大な発言をしたからだ。『サンデー毎日』は「東海地震で日本人の20人に1人が被曝死する」と原発震災を特集。『週刊現代』は「東海大地震で『浜岡原発爆発で首都破壊』死者は191万人」もなどと特集した。
本来なら、「地震大国日本」とまで言われているだけに政府自身が率先して「大地震発生時の対策」を作り上げていなければならないはずだ。遅きに失したとはいえ、今回の大地震を機に、しっかりとした地震発生時における市民生活対策を各自治体と協力して作成してほしいものである。
それと同時に、原子力発電の危険がいかに想像を絶するほど危険であるかが立証されたわけだから、当面は、今回の大地震で被害を受けた地域、住民に対する救済に万全を期すとともに、日本中にある50基を超す原発に代わる太陽光、風力など自然エネルギーの発電所建設を積極的に進めることを急ぎ検討すべきことが最大の国策と考える。(4月1日付「八十路通信」12号から一部割愛し、転載しました)
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