2011年10月4日

    原発政策をめぐる  社会党と共産党 <下>
    「速やかな脱原発」へ共闘を


 新社会党は結党時から「原発の建設・利用に反対し、〈もんじゅ〉などプルトニウム利用は即時中止し、脱原発・無公害エネルギーの開発を進め、省資源・リサイクル型の社会を実現します」(『当面の政治目標(1996年綱領)』)と掲げている。

 数年をかけて2002年に策定した綱領『21世紀宣言』では、「原発もプルトニウムの生産・利用もない、風力や太陽光等のソフトエネルギーを中心にすえる社会」を目標に定めている。

 同時に『私たちの中期的な政策』では、「原発の建設や輸出は中止し、老化度や危険度の大きいものから速やかに廃止します。〈もんじゅ〉や……再処理事業など、核燃料サイクルは即時廃棄します。できてしまった放射性廃棄物については、自治体と住民と専門家による監視のもとで、発生者が責任を持って原発敷地内に管理保管するようにします」「当面、天然ガスの利用率を上げ、省エネを進めながら、風力、太陽光、潮力など更新性エネルギーの開発利用を促進します」としている。

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 社民党は1996年に原発容認でスタートしたものの、『社会民主党宣言』(06年)では「あらゆる核を否定する立場から脱原発を積極的に推進し、エネルギー利用の抑制を図りながら、自然エネルギーの開発・定着に取り組みます」と改めた。

 「原子力発電からは段階的に撤退します」(09年総選挙政策)としながらも、この問題を軽視して連立して入閣した民主党政権は原発推進の法律や基本計画を定めてしまった。

 福島事故を契機に共産党も社民党も、「脱原発」の方針に改めて姿勢を正したといってよい。両党が使う「原発からの撤退」という言葉は、事故直後に東電社長が口走った言葉と重なってしまい、的確な用語とはいえない。

 それに10年をかけるという政策もいただけない。10年間で1万本以上も増える使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)をどうするのか。大事故はありえないのか。大地震のないドイツとは違う。

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 再稼働を許さない闘い方次第では、来春には全原発を休・廃止できる。この夏にも証明された通り、火力を優先稼働させさえすれば、水力と合わせて脱原発はすぐにでもできる。

 自然エネルギーの急速な拡大は必要だが、それが成長して原発の寿命が尽きるまで脱原発を待つというのでは野田民主党政権の方針に似てしまう。

 両党とも、わずかばかりの違いを強調したり、誤りをあげつらうのはやめて、「速やかな脱原発」で共闘できるはずだ。共産党、社民党、新社会党は共同して大衆運動を発展させよう。民衆の期待に応えて、国政選挙や要所の首長選挙でも共闘のテーブルをつくろう。福島の悲劇を繰り返させないために。(原野人)


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