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霞ヶ浦に流入する56の河川から放射性物質が運ばれていることが報告された=6月3日、土浦市内 |
流入防止や除染
国・茨城県に対策を求め
いのちの水・霞ヶ浦を放射能汚染から救おう!と、国・茨城県に霞ヶ浦への放射性物質の流入対策・除染を求める「20万署名」運動が始まった。
署名運動は、6月3日に土浦市内で開かれた「市民によるモニタリング第2回報告会」で提起されたもので、東電福島第一原発事故で拡散した放射性物質が、56本の河川から霞ヶ浦に流入・蓄積している事態を受けて発足した「いのちの水・霞ヶ浦を守る市民ネットワーク」を中心に「署名実行委員会」が取り組む。
「市民ネットワーク」の共同代表は、霞ヶ浦の再生を考える会代表の助川弘之前土浦市長と、NPO法人アサザ基金の飯島博代表が務める。
第2回報告会では、アサザ基金の飯島代表から県や国に対策を求めてもほとんど反応がないため、独自に56河川、140カ所でモニタリング調査したことが報告された。
飯島代表の報告によると、汚染物質は霞ヶ浦に向けて移動しており、最もひどい備前川の土浦市小松橋では3月8日の低泥サンプリングが9550ベクレルだったものが、さらに下流の岩田橋では9980ベクレルを記録し、汚染物質が徐々に霞ヶ浦に向かっていることが分かったという。
飯島代表は調査結果を踏まえ、「流入河川の放射性物質が霞ヶ浦に集まりつつある。霞ヶ浦は閉鎖性が高く、常陸川水門(逆水門)のさらなる柔軟運用が求められる」などと訴えた。
また、報告会では茨城県内水面試験場の浜田篤信・元場長が講演した。浜田氏は、霞ヶ浦の放射能汚染の現状と具体的な浄化に言及し、「霞ヶ浦の湖水の放流は海洋汚染につながるとの批判もあると思うが、霞ヶ浦漁業をつぶせない」として、大潮の前後に漁船を使って湖水をかくはんして底泥に溜った放射性物質を浮き上がらせ、強い西風の際に押し流す方法の研究などを呼びかけた。
署名実行委は、6月21日に土浦市内で第1回委員会を開き、1年間かけて20万筆を目標に集める意思を確認する。また、7月22日には同市内で市民集会を開いて運動の広がりを図る方針だ。
集めた署名は橋本昌知事に提出し、@水道水など利用水の汚染防止の早急な措置、A流入河川に蓄積している放射性物質が霞ヶ浦に移動しないよう必要な対策を早急に実施するよう国に求める、B蓄積した放射性物質を除去する技術の開発などを国や大学などに求める、C市民と行政の協働のモニタリング調査や放射能対策の実施などを茨城県に迫る。
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