新社会党
  1. トップ
  2. 震災特集
  3. 2012年7月17日
2012.7.17
原発被曝労働で省庁交渉
誠意のない官僚答弁


 命がけの事故収束・除染作業
 最低限の権利を保障せよ



 被曝労働に関する関係省庁交渉が7月6日、衆院第二議員会館で開かれた。設営したのは、原子力資料情報室、ヒバク反対キャンペーン、原水爆禁止日本国民会議、アジア太平洋資料センター、福島原発事故緊急会議被曝労働問題プロジェクト、全国労働安全衛生センター連絡会議。

 主催者はあらかじめ厚生労働大臣、文部科学大臣、環境大臣、経済産業大臣宛に少しでも被曝労働を減らし、健康被害を防ぐために率直な情報交換と問題解決のための申し入れを行った。
 主な項目は次のとおり。
 @福島第一原発の下請け会社の労働契約、A同事故収束への作業人員の計画、B同原発作業員の長期的健康管理、C同健康対策、D晩発性障害の賠償基準の明確化と放射線審議会、E健康管理手帳、F放射線管理手帳の法的裏づけ、G除染作業。

 さらに厚労省に対しては、定期点検を含め原発施設での作業では、何次にもわたる下請契約があり、不当なピンハネのほか、作業員の安全衛生教育の不十分さがあるが、下請契約の規制の検討、外国人労働者への多言語による安全衛生教育の必要性、手帳交付の対象者が被曝線量50ミリシーベルトを超えるものとした根拠、それ以下の作業員に対する健康管理方法の検討など追加としてただした。


 当局の賠償基準等の認定基準の設定が個別具体的にを口実として、ないことなどに対して認定基準なしに申請がしにくい現実や、因果関係の立証責任の軽減を求める声が次々に指摘された。
 政府の不誠実な対応、答弁に、福島から水戸に疎開している女性は次のようにただした。
 「私の息子は福一で働いています。今頃は警戒区域を歩いているのかな、と思い出しています。そこで働いている人たちはあなた方と同じ人間です。私の聞いた話では福一で働く作業員は持って後5年だと聞いています。5年後に作業員がいなくなったら、あの廃炉まで40年かかるというのにその作業は誰がするんでしょう。本人たちはこの福島で起こったことは俺たちのふるさとだから俺たちがけりをつけなければならないと言って、犠牲的精神で、戦争中の特攻隊のように気持ちで頑張っている。私は辞めろと言っていますが、聞く耳は持ちません。その人たちが、あなたたち(官僚)には福利厚生は整っているだろうが、何も整っていない労働者がいるのが現実だ。
 私の友達の娘は就職してから8年間も社会保険に入れてもらえない、先日腰を痛めても、労災を使うと仕事がしにくくなると言って労災適用してもらえなかった、そしてあきらめたと言っていました。そういうことがまかり通る社会があるということをあなた方は認識してください。原発事故の後始末をしている労働者たちにせめて最低限度の権利を認めてください」会場に拍手が起こった。


 省庁側は一貫して、基本的には東電の責任としながら、現場には2000社に上る企業が入っていて、労働契約や偽装請負、衛生安全教育の徹底と指導に手が回らないと逃げを打つ。さらに、ロシアのチェルノブイリ事故の賠償基準の調査検討も行われていないのではないかと、糾された。


 課題は、福一の収拾だけではなく、除染作業にあたる派遣労働者等に対する講習などもお粗末で、従事者の確認などから始まるほど後手後手にまわり、政府の対応は責任の片鱗もみられないことが明らかになった。
 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ