伊方原発の運転差止めを求める訴訟の第二回口頭弁論が9月25日、松山地方裁判所で行われた。
今回の口頭弁論では、福島県南相馬市から避難している農業従事者の渡部寛志さん、愛媛大学社会連携推進機構教授の村田武さん、愛媛県原爆被害者の会事務局長の松浦秀人さんの3名が意見陳述を行った。
陳述の中で渡部さんは、「福島で起こったことは何でしょうか」と問い、企業の所有する商業用の原発の事故であり、双葉町には「原子力明るい未来のエネルギー」という標語がメーンストリートに掲げられているが、誇らしい存在だったはずの「あの原発」は大量の放射性物質を撒き散らしてしまった。そして大きな悲しみと大きな苦しみを生み出してしまった。
大きな悲しみとは多くの「死」である。761人の方々は死ぬべくして死んだのでしょうか?原発事故さえなかったら、なかった死であると訴えた。
また大きな苦しみとは、さまよい続ける「避難者」の苦しみである。生きる場を強制的に奪われ、慣れない土地で、毎日を送る人々がいる。自らの生きる場を自ら捨て、自主的に避難する人々、家族でさえ引き離されバラバラにされてしまった多くの人々がいる。
そこに留まった人々も、風評被害と闘いつつ、葛藤しながら、食物を作り続ける農民たち、小さい子どもを抱えながら、放射線という見えない恐怖と闘う母親・父親たち。事故から1年6カ月経っても未だに苦しみの中に置かれ、まだ何も終わっていない、すべては現在進行形だ、と訴えた。
最後に渡部さんは、「絶対に愚かな過ちを繰り返してはならない、そのために伊方原発を動かしてはならない、それは福島を救うことにつながり、私たちの子孫に対する責任である」と締めくくった。
これに対し被告の四国電力側は、「伊方では起こりえない」「原発は安全である」と呪文のように繰り返すばかりで、安全である根拠の証拠は何一つ提出なかった。答弁書で「真摯に答えます」と言いながら、「証拠を出すのは争点が決まってから」という先延ばしの態度に終始した。
次回の口頭弁論は、来年1月29日の予定。なお、伊方原発運転差止め訴訟を提起し取り組んでいる「伊方原発をとめる会」では9月9日に第二回総会を開き、四国の住民400万の1割40万人、全国で60万人を目標とする署名活動に取り組むこと、各県各市町村への地域組織づくりをめざしていくことを決めている。(愛媛発)
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