大阪府と大阪市が、東日本大震災で発生した放射性廃棄物を含むがれきの広域処理を受け入れたことは放射能を拡散するもので中止すべきとして反対し、ビラ配布などの街頭活動を行った市民に対する不当逮捕など、反原発運動に対する不当弾圧が相次いでいる。
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「反原発運動に対する不当な弾圧を許すな」と東京・永田町の参院議員会館で開かれた集会には、市民はじめ学者や弁護士ら60人が参加した=12月27日 |
大阪府警は12月9日、がれき処理に反対する活動を活発に行っていた阪南大学准教授の下地真樹さんら3人を威力業務妨害と不退去の容疑で逮捕した。
下地さんらは、昨年10月17日午後2時40分頃から約1時間半、JR大阪駅の駅頭でハンドマイクで訴えながら通行人にビラを配布。その後、市役所前で予定されていた抗議行動に参加するため駅構内を通ったというもの。
逮捕は、現行犯ではなく、2カ月後の令状によるものという異常さだ。下地さんらが訴えていた場所は、駅を出たところの歩道で、歩道の半分は市道、駅よりの半分はJRの敷地というが、当然のことながら区別を示すラインなどはない。 駅構内を通る時も、三々五々歩いて通り、ハンドマイクで訴えたり、ビラを配布したりということはなかったという。
下地さんらの逮捕に対して、憲法学者の石崎学・龍谷大教授ら67人は12月17日、「逮捕は、憲法上強く保障された表現の自由を不当に侵害し、市民の表現活動を幅広く規制対象にする結果をもたらし、ひいては自由な意見交換に支えられるべき議会制民主主義の課程を深刻に害するものであって、憲法上許されない」として抗議し、即時釈放を求める声明を出した。
12月27日には、東京・永田町の参院議員会館で「大阪反原発で不当逮捕された仲間を取り戻そう!関西大弾圧救援会・東京の会」による緊急記者会見と院内集会が開かれ、60名が参加した。
記者会見では、一橋大学教授の鵜飼哲さんが「3・11の原発事故と放射線被害問題に対して、生命を守るための反原発を訴える市民活動をしてきた下地さんとその友人たちが理不尽で政治的な弾圧にあったことに対する抗議と、私たちの社会運動を狭めさせないために不起訴にしなくてはならない」と述べた。
救援連絡センター運営委員で弁護士の大口昭彦さんは、「大阪での反原発運動に対する不当弾圧を見過ごしてはならない。また経産省前テントや他の場所にも不当な圧力がかかる可能性があるので全国的な団結で取り組まなければならない」と語った。
石崎さんは、「駅の大きさからみて御堂筋コンコースを鉄道地とするのには無理があり、憲法21条を優先させる場所である」と鉄道営業法違反・威力営業妨害・不退去は適用されないと主張した。
宮崎大学講師の中川律さんは、「公道上の歩道である敷地を通る人にビラを配ったことが罪に問われることはおかしい。駅員がコンコースを『通らないでください』とは言えないはず。個別に分析すると全く問題ない行動を一体化して、いかにも罪を犯しているかのように見せている」と語った。
信州大学教授の成澤孝人さんは、「憲法で保障されている『表現の自由』を潰そうとする動きは止めなければならない」と語った。
ミュージシャンの趙博さんは、福島支援をしていたFさんが逮捕されたときに自身が家宅捜査された体験と、がれき焼却説明会での指差し逮捕の様子を語り、「裁判所が悪辣で簡単に逮捕状を出すことを許可する。司法が堕落している」と述べた。
集会参加者30人は集会後、最高検察庁に出向き、下地さんら3人の不起訴と即時釈放を求める要請を文書で行った。
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