福島原発避難者訴訟第6回口頭弁論が8月27日、福島地裁いわき支部で開かれた。前段に開かれた集会には百数十人が参加。集会には前日の26日に「自死被害者遺族への損害賠償」福島地裁判決を勝ち取った遺族の渡辺幹夫さんが駆けつけ、連帯した。
東電に4900万円の賠償を命じた福島地裁判決は、渡辺さんの妻・はま子さんが2011年7月1日に山木屋の自宅へ一時帰宅中に自殺した問題をめぐるもの。判決は原発事故で避難を余儀なくされた過酷な経験の因果関係を認め、この種裁判では初の画期的な判決だ。
福島原発被害弁護団は、東電に対し「控訴することなく、原発事故の加害者として、原告はま子さんの遺族に対して、心から謝罪し、償いを直ちに行う」よう申し入れた。
避難者訴訟前段の集会では、渡辺さんが「皆さんのご支援でここまでこられた。はま子もこれで成仏できる」と挨拶した。
口頭弁論では原告でさいたま市に避難して口頭弁論では原告でさいたま市に避難している横田芳朝さんが、2間しかない借り上げ住宅で93歳の母親を夫婦で介護する生活の苦しさ、丹精込めて作った地力のある土を奪われたことの辛さを話した。
また、山木屋の管野みどりさんは、家族のように慈しんだ乳牛を奪われたことなどがいかに深刻であるかと涙ながらに訴えた。
最後に、原告と代理人が、裁判官による現場検証と渡辺はま子さん自死被害をめぐる地裁判決を受け、「このままでは多数の自死者を出しかねない」として、審理の促進と早期結審を求めた。しかし、裁判長は「現段階では現場検証の必要性について判断できない」と述べるにとどまった。
原告の國分富夫さんは「大変残念だ。もっと提訴に踏み切る仲間を増やして追い詰めていきたい」と語った。
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