ハワイのオアフ島に司令部を置く米太平洋軍(USPACOM)のサミュエル・ロックリア司令官は2月1日の電話会議で、アジアにおける米と同盟国のさらなる協力関係を強調するとともに最新鋭の艦船や兵器、軍用機のアジアへの移送を発表した。日本・豪・韓国との間にはミサイル防衛網(MD)を拡大し、東南アジアの基地を強化し、合同演習を増やす方針である。
4日からは米韓合同演習がポハン付近の日本海で始まり、原子力潜水艦サンフランシスコとイージス艦シャイローが参加した。韓国軍統合参謀本部は演習の目的を「予想される北朝鮮の挑発的措置に対抗するため」としている。
また南シナ海では南沙諸島などの海域の領有権から周辺諸国が緊張を高めており、米軍は「戦略バランスの再調整」という協力関係の名の下にプレゼンスを正当化している。米オバマ政権のアジア回帰政策によって、これまで多国間協力によって衝突を避けてきた地域問題が国際問題化してきている。
司令官は豪を「重要な柱」として強力レーダーと宇宙望遠鏡を設置するとし、インド洋を緊要な戦略地域と位置付けてインドへの安保関与およびインドネシアとの関係強化を明示した。
米太平洋軍は地球表面の半分、世界人口の半分以上を網羅し、米軍全体の軍事力の5分の1を占める最大の海外派兵軍である。座間・うるま・横須賀・佐世保・嘉手納・三沢・横田にある各基地には構成部隊が駐屯、すでに日本は米集団的自衛権の枠内に組み込まれている。
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