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  4. 2013.03.05
2013.3.5
核廃棄物漏れ 
マンハッタン計画後の環境汚染


 
 米エネルギー省は2月22日、太平洋岸ワシントン州の南東部のハンフォード・サイトで地下貯蔵タンク6基から高濃度放射性廃棄物が流出していると同州知事に伝えた。1週間前の16日に1基が漏れていると発表したばかりだった。
 漏れたタンクと同型のものは149基ある。過去にも流出事故はたびたび起きており、同省は老朽化したタンクから年間600〜1200リットルの放射性液体およびスラッジ(汚泥)が流れ続けていると推定している。


 ハンフォード・サイトはシアトル市から約280キロ、コロンビア川に沿った1518平方キロメートルの広大な敷地で、マンハッタン計画の一環として連邦政府が43年にハンフォードの町を土地収用、住民は強制立ち退きを迫られた。44年から核兵器用プルトニウムの精製が始まり、長崎で実戦使用された。
 最大生産時には5万人の労働者が居住、1987年まで9基の大型原子炉が稼働していた。その後、閉鎖され、クリーンアップ計画に移り、州環境庁・連邦エネルギー省・環境保護庁の三者で除染作業が行われてきている。約25年が経つが、終了は2052年とされる。
 これまでに安全基準違反・設計ミス事故は何度も発生している。環境保護庁は16億立方メートル超の液体廃棄物が土壌に廃棄されたとしている。


 コロンビア川は飲料用・農業用水として使われており、ワシントン州には漁猟のネイティブ・アメリカンの保留地が多く存在する。隣接するオレゴン州、アイダホ州は農業地帯である。

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