4月15日、ボストン・マラソンのゴール付近で爆発事件が発生、FBIによる容疑者2人の特定で銃撃戦となり、1人が死亡、もう1人が逮捕された。爆発で死亡者3名、負傷者百名超が出た。また17日にはテキサス州の肥料工場で爆発が起き、住民を巻き込み、14名が死亡、200名超が負傷した。同日、米大統領・議員宛ての毒物郵送事件も発覚した。
ボストンでは19歳の容疑者とされた学生を逮捕するため数千人の警察官と軍兵士、ブラックホーク・ヘリや装甲車が大規模に投入され、市内と郊外は外出禁止など戒厳令状態となった。一軒、一軒の住宅が調査され、警察国家の様相を見せた。メディアは容疑者プロフィールを「チェチェン・イスラム・ロシア」と強調した。
一方、肥料工場の爆発については「産業災害」の一つとしての報道であった。米国では毎年約400万人が労災により負傷、うち5000人弱が死亡している。財政状況の悪化から職場の安全基準が緩み、違反事件は増加している。爆発の起きた工場の職業安全健康庁(OSHA)の最後の視察は1985年であった。全米にはこうした肥料貯蔵施設は6000カ所余りあるとされる。
毒物郵送については容疑者とされた人が逮捕されたが、誤りとわかり釈放された。弁護士は、事件は「でっち上げ」「状況証拠だけで監獄に多くの人が収監されている」と説明した。こうした報道から、米政府の「企業活動の保証」「テロ戦争への構え」と市民的自由が蹂躙される社会が見える。
|