2011年3月にミャンマーでテインセイン政権が成立すると、各国は民政移管の実現・軍政時代の終わりと捉え、関係を改善、制裁措置を解除し始め、欧米・日本企業が安い労働コスト、人口6000万人超の消費市場、豊かな資源・インフラ需要を背景に進出するようになった。
各国政府には対中経済関係に対抗する政治的思惑もある。ミャンマーの輸入総額における中国製品のシェアは00年から08年にかけて工業部門では25%から42%へ、資本財では9%から45%へ増加している。
また、中国・インドと国境を接し、ベトナムのダナン市からインドシナ半島を横切る全長1450キロの「東西経済回廊」がタイ国境メーソートまで9割以上が開通。インド洋までミャンマーを通過するのみとなった「大メコン圏」の陸上輸送網が整備されていることも企業を引き付けている。
安倍首相は日中韓首脳会談が見送りになると24日、40社超の企業代表を率いてミャンマーを訪問、日本経済再生の活力を取り込む決意を見せた。対日債務を新たに2000億円免除、総額5000億円の債務を帳消しにし、今年度中にODA=政府開発援助910億円供与を約束した。
テインセイン大統領との首脳会談後に共同声明を発表、安倍政権は官民あげて民主化と経済改革・国民和解を支援すると表明。中国への対抗を強調し、アジア太平洋・インド洋での安保防衛に関する両国の対話のために防衛当局間の交流を促進することを合意した。
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