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2013.7.30
前進したいブラジル
抗議活動は沈静化



 2014年サッカー・ワールド・カップ、16年オリンピック開催を控える中、ブラジルの100を超す都市で大規模デモが発生した。03年に史上初の労働者出身のルセフ大統領を生んだ国で国民の不満が充満していた。サンパウロ市から始まった抗議活動は20センターボ(約20円)の公共交通料金の値上げに反対するものであった。

 ルラ政権の成立以来、貧民救済策「飢餓ゼロ」が優先されてきた。人口約2億人の国で38%だった貧困率は20%に減少、極貧率は13%から6%に下がった。中産階級は38%から53%へと上昇、所得は増大した。過去10年間、与党ブラジル労働党は市民の政治参加を掲げ、政府と市民社会との新たな関係を築いてきた。しかし、政権は13政党からなる連立政権であり、この枠内で多様な政治課題に取り組まねばならない。

 今回のデモ参加者は青年および中産階級で、放火などの暴力事態は右派勢力が混乱に乗じて反政府運動に転換させようとするものであった。ルラ大統領はデモ参加者の憂慮を共有し、連帯すると演説し、5つの政策(金融安定策、市民の政治参加をさらに進める、医療制度の充実、交通料金値下げと交通インフラへの投資、教育予算増額)を発表した。

 国会は国民の要求に応え、提案の承認過程にあり、石油ロイヤルティの75%を教育に振り向けることを採択、さらに汚職には刑法改正で厳しい措置を盛り込んだ。政情不安は徐々に克服されようとしている。

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