閉鎖されていた中東・アフリカの米在外公館19カ所の一部、アラブ首長国連邦の大使館と領事館、リビアの大使館などがイスラム教の断食月明けの祝祭の終了をもって8月11日に業務を再開した。
しかし、在イエメンの米公館は英仏独の大使館と合わせて閉鎖されたままで、外交官は国外退避している。同国では8月に入り、アルカイダのテロ壊滅の口実でこれまでにない規模で米無人機が攻撃を行っており、2週間で数十名の死者を出した。
一方、米市民には全世界への渡航制限が呼びかけられている。CIA元職員エドワード・スノーデン氏が米政府による大掛かりな監視プログラムを暴露して以来、米国内でも「テロの恐怖」が煽られて警察国家化が進んでいる。
オバマ政権が「米市民をスパイしているのではない」と主張するが、市民は威嚇、個人情報への介入と受け止めている。
対外的には「テロの恐怖」は中東・アフリカでの米軍事介入を隠蔽する役割を果たしている。イエメンはアデン湾に面し、紅海に抜ける戦略的に重要なマンデブ海峡を臨んでおり、米国は複数の基地建設を計画している。
このなかで公館攻撃情報が流されている。NATOも中東への欧州地上軍の投入可能性を示唆、トルコにある基地から攻撃準備を進めており、イタリアにあるナポリ合同同盟軍および米中央軍と連携を強めている。
米軍は冷戦終結後、在欧州米軍基地を「21世紀安保」の名目で強化している。
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