ベネズエラのマドゥーロ大統領の訪中に際し、米政府は大統領機のプエルトリコ上空通過を許可せず、ベネズエラ政府はルート変更を余儀なくされた。また、9月17日の第68回国連総会開会を直前にバリエントス大統領府長官に対する米滞在ビザに条件を付ける事態も発生した。
世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、外交関係に関するウィーン条約、国連特別ミッション条約違反。各国の非難の声は怒りに転じている。
7月初旬、モラレス・ボリビア大統領が「天然ガス輸出国機構」のモスクワ会議から帰国の際も、米政府が仏、伊、スペイン、ポルトガル当局に対して大統領機の領空通過を禁止させたためオーストリアに緊急着陸した。今回、2度目の事態となった。
ブラジルでは、大統領の個人的な電子メールや通話記録を米国家安全保障局(NSA)が監視していたこと、国営ペトロブラス石油公社のコンピューター・ネットワークへの米のスパイ行為が明らかになった。ルセフ大統領は10月に予定していた米国への公式訪問を取りやめ、延期した。
8月にはボリビアとブラジルの外交関係を阻害しようとしたCIAによる非公然行為が発覚した。ボリビア国内で汚職容疑の裁判を受けることになっていた野党上院議員をブラジルに逃亡させた事件である。これにより、ブラジル外相は辞任した。米政府による対ラテンアメリカ、カリブ海諸国への主権侵害行為が強まっている。
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