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2013.12.10
イラン核計画協議
合意は暫定的な均衡状態



 11月24日未明、イランと6カ国はジュネーブで4日間の集中的協議の後、制裁措置の多少の解除ならびに平和的核(原子力)計画の制限について暫定的合意に達した。合意を数十年にわたる対立の「包括的解決に向けた第一歩」と見るか、イスラエルの主張、「歴史的な誤り」と見るかで評価は衝突している。イラン側は「相手が取り決めを守らなければ合意前の立場に戻る」としている。


 交渉は、シリア問題でロシア・中国と米および同盟国が対立、爆撃が回避された場合と同じく、大国を分裂させた。英・仏・独の3カ国は直面する経済情勢から政治解決を選択する状況にあり、米国はイスラエルの主張を認める。すなわち、イランの核兵器獲得自体が問題というより、同国が主権を行使し、核・原子力開発の分野に進出すること自体を脅威と見、軍事作戦を実行すべきとする観点である。しかし、79年以来、政権打倒路線は維持できなくなりつつある。
 今回の合意で米国は6カ月という時間を獲得した。オバマ政権は今後、国内のイスラエルロビーと対峙することになるが、この間に調印国は総合的な長期的合意に達するよう求められている。


 しかし、合意は、核兵器保有国が非保有国に対して制裁を課し、かつ原子力開発に大幅な制限を課すという核の二重基準を克服したわけではない。イランを国際通商・金融関係から締め出していること自体が必要な物資、とりわけ医薬品の輸入の阻止につながっており、イラン国民の苦しみは続いている。

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