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2013.12.24
3度目の冬を迎えたシリア難民
各国の利害からむ



 シリア、レバノン、ヨルダン、トルコなど中東一帯を寒波と強い風雨が襲っている。国連高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、「テントに暮らす難民は非常な困難を強いられている」。11年に始まったシリア国内の情勢不安によって、隣国に200万人以上が難民となって避難し、国内でも600万人以上が移住を迫られた。死者10万人と推定されているが、国連は正確に把握できないと発表している。今年はとくに厳冬が予測されている。


 対テロ戦争、シリア国外からの武装勢力、アサド政権に対する反政府勢力、イスラム過激勢力、イスラエルによる空爆などが絡み合い、危機はシリア1国を越えた性格をおびている。サウジアラビア、カタール、トルコなど地域の諸国も反政府勢力を支援しながら介入、米・英・NATO軍が背後で爆撃を準備している。サリンなど化学兵器までが使用され、その廃棄に向け国際的合意に達したものの、公海上で分解処理を行うことが技術的に困難になったと米軍関係者が発表している。
 その一方でロシア・中国・イランが停戦協議を提案しているが、実現に至っていない。国連によれば、シリアの不安定化は、今年になって6000人以上の犠牲者を出したイラクでの戦争と一体化しつつある。「政権転覆」をめざす反体制組織、外国出身者からなる武装集団が分裂する中、政権側は抵抗を続けている。


 一国の主権と自決権を無視した侵略戦争、その後の無政府状態は中東全域に広がろうとしている。

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