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私たちの中期的な政策
−憲法を生かす連合政府をめざして |
2.誰もが安心して暮らせる社会の実現
(1) 社会保障の充実
@ 生存権と国の責務
日本の高齢者は人間らしい生活を奪われ、自殺死亡率がきわめて高い状態です。「自助・自己負担」が強調され、子どもや障害者に対する社会保障も低水準にあります。憲法第 25条の第1項は生存権を保障し、第2項はこれに関する国の責務を定めており、これを真に実現していきます。
A 医療制度の改革
誰もが安心して医療を受けられる権利を確立し、医療過疎をなくすとともに、医療の地域的ネットワーク化を拡充します。医療費は基本的に公費でまかなうようにし、医療従事者の増員、身分・待遇の改善を進めます。薬害・過剰投与・医療過誤を防止するため、規制・罰則を強化し、患者の「知る権利」を確立します。
B 年金制度の改革
世帯単位から個人単位へ制度を改めます。高齢者が男女とも生活できる定額基礎年金方式を実施し、国庫負担の割合を高めていきます。また加入期間不足や未加入の人を救済し、定住外国人にも受給権を保障するため、受給資格を居住期間によるものに改めます。
C 介護制度の改革
社会的介護制度を確立するため、介護要員の大量育成と確保、そのための身分・待遇の向上を行ない、地域に密着した施設の配置・拡充など基盤整備に全力を上げ、介護費用は基本的に公費でまかなうよう改革します。
D 保育制度の改善
子どもが安全・健康に育ち、親の重い負担をなくして安心して預けられるよう、学童保育も含め、公営・公立保育所(園)の増設、民間保育所(園)への支援、保育労働者の身分・待遇の改善を推進します。また、保育制度と幼児教育の制度的な統合をはかるために、幼保一元化を進めます。
(2) 税制の改革
@ 応能負担、所得再配分の原則
税制は応能負担を原則とし、所得再配分の機能を発揮させなくてはなりません。中心は直接税において、間接税は個別に定めるべきです。大企業や大金持ちを優遇する不公平税制は根本的に改めます。
A 消費税廃止と具体的税制改革
逆進性の強い消費税は税率引上げをせずに、廃止します。所得税は総合課税に改め、累進性を強化します。大企業優遇の租税特別措置を廃止し、法人税は課税範囲を拡大するとともに累進的多段階税率を導入します。一定以上の資産に対する資産課税を強化し、ぜいたく品に個別物品税を導入します。自治権の確立のために、地方自主財源を拡充します。
B NGO・NPOへの免税
NPOの法人格取得条件を緩和し、活動のための資産・所得やNGO・NPOへの寄付などへの免税措置をとります。
(3)教育基本法理念の具体化と文化の振興
@ 基本法に基づく教育改革
噴出するいじめや不登校、問題行動の原因となっている能力主義に基づく差別・選別・「自由競争」の教育を改めるため、憲法・教育基本法の諸原則を実現します。教育の機会均等と義務教育の無償、公費による教育条件の整備、平和主義・反差別・思想信条や良心と学問の自由・権力の不介入など、基本法の示す理念の全面的な実現をはかります。
A 国家主義教育と産・官・学癒着の改革
教育制度・教科書への国家統制や「日の丸・君が代」と元号の強制をなくします。大学や研究機関への途上諸国からの受入れを増やします。教育委員は公選制にもどします。保守政党や大資本に従属した産・官・学の癒着を改め、「すべての都道府県に最低1校の公立大学」という原則も堅持します。
B ゆきとどいた教育への改革
子どもの意見表明権の保障など、「子どもの権利条約」を教育現場と社会全体に具現します。小中高校の学級規模を1学級20人以下とし、教職員定数を抜本的に改善します。教育における性差別を解消します。また障害児・者の隔離政策をやめ、統合教育を推進します。高校への全員入学、教育予算の大幅増額と保護者負担の軽減を推進します。
C 文化活動の振興
今日の美術・音楽・演劇・文学等は、一人ひとりの労働者、市民がそれらの「受け手」に押し込まれています。そのため、文化・芸術の個々のジャンルにおいて質の高いものを生み出すとともに、生活・労働に密着したところで誰もが創造し、直接に触れ楽しむことができるよう、文化・芸術活動の場を無数に作り出します。「個性の表現」ができるようにし、人権や共生の精神を育て、創造性や想像力を高める文化・芸術を支援・奨励し、多文化交流・共有を進めます。スポーツも同様の観点からの振興をはかります。
(4) 防災と生活環境の改善
@ 住環境の改善
都市における自然(緑・水域など)を保全・拡大します。住宅地などへの自動車交通を規制し、低床・高速の路面電車の復活・拡大や、歩道橋がなくとも歩ける道路構造などの改善を進めます。歩道と自転車道を整備します。社会的便益、緑・公園、災害対策等と組み合わせた都市計画に基づき、借り上げも含め良質で安い多数の公営住宅を確保します。
A 大規模災害に備える
大規模災害に備え、都市構造や交通・通信の改善、備蓄の拡充などを進めるとともに、専門の災害救助隊を創設し、全国各ブロックに配置します。また公費による被災者支援制度を拡充します。
B 土地の有効な活用
「土地はみんなに与えられた財産」として、企業や個人の恣意と利益追求を社会的に抑制します。
投機や資産としての大土地保有を規制し、防災と生活環境の改善に必要な公有地を拡大し、実際の生活に必要とする人びとへの供給を確保します。
(5) 情報技術の民主的活用
@ 情報技術に関する基本的見解
近年、インターネットの普及により情報技術はIT革命と称されるほど飛躍的な進歩をみせました。
電信やそれに続く電話やファクス、さらにはラジオやテレビなど情報技術は、少数者間の双方通信であったり、また少数者から多数者への一方通信でした。今日の情報技術の主流であるインターネットは、多数者間の双方通信という点でそれら前世紀のシステムとは質的に異なっています。
こうした特性はとりわけ市民運動の分野で国境を越えた組織作りに活用されています。一方では、IT犯罪やIT弱者の保護、個人情報の保護など、新たな社会的問題も発生しています。
A 情報技術と行政
IT基本法による電子政府や電子自治体構想が政府主導で進められていますが、住民への情報サービスの向上や住民の行政参加などの肯定的側面がある一方で、住民基本台帳ネットワークシステムにみられるように新たな国民背番号制などの住民管理につながる危険があり、個人情報の保護やIT弱者の保護の視点で運用を監視します。
B 情報技術と民主主義
情報技術は直接民主主義の物理的条件を整備し、国民の参政権の充実に寄与する可能性を持っており、すでに平和運動や環境問題に取り組む住民運動において積極的に活用されています。
すべての国民が情報技術を利用して直接民主主義の制度に参加できるよう社会教育上の施策を充実すると共に、経済的・年齢的・身体的条件の差異により不利益を被ることのないよう配慮した施策の充実をはかります。
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