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第T部 私たちは何をめざすか |
《新しい社会主義実現の条件》 先の「四つの基本目標」は単なる願望ではありません。それを実現する次のような諸条件を、資本主義の発展自体と一世紀にわたる人類の諸経験が与えているのです。
(1) 帝国主義戦争のさなかに民主主義が未発達なままで武力革命によったソ連や中国などと違って、民主主義の発達により、平和革命(国家権力と大企業所有権の平和的移行)こそが現実的となっています。 ソ連などでは革命後も他国の軍事干渉や侵略にうちかつ軍事力が必要であったとはいえ、その後の核兵器などの軍拡競争や軍事介入がいかに有害無益であったかはすでに証明されています。 世界に広がる核廃絶と軍縮、平和を求める声は、不戦・非武装こそ現実的・必然的であることを示しています。平和・軍縮・共生のための多国間協議・協力機構を確立し、非武装永世中立宣言を発して、軍事同盟も軍隊もない新しい社会主義の日本を出発させることができるのです。
(2) 共同戦線に支えられる連合政府(共同戦線政府)の発展を通して実現する社会主義であるために、ソ連などのように一党だけになることもありません。複数の政党が最良の政策を追求して切磋琢磨し、信頼を競い、協力することによって、誤りも腐敗も官僚主義も防ぎやすく、すべての人びとの人格や意志が大切にされる条件にもなります。
(3) 資本主義は地球の使い捨てを進めてきましたが、先進資本主義に対抗して生産力を上げることを優先した古い社会主義と異なり、新しい社会主義は、地球の有限性を正しく考慮にいれることができます。自然との共生を推進しながら、有限な資源は、戦争や軍事利用による浪費をはじめ資本主義的利潤追求に起因するあらゆる浪費をなくし、計画的にもっとも有効的・循環的・持続的に活用することができます。高度に発展した科学技術の人類のための利用は、原子力発電をはじめとする危険な生産手段や有害な消費手段を速やかになくすることもできます。
(4) すでに日本では、生産力はあり余るほどに大きくなっており、失業をなくし、意志のあるすべての人が就業するだけでも、必要なものは十分に生産した上で大幅な労働時間の短縮も、年金や医療等の改善も、途上諸国への支援も可能です。
(5)ソ連や中国などでは、生産力も低く、生産は小規模に分散し、無数の小生産者が市場関係だけで生産物を交換していた困難な条件から社会主義社会の建設に着手せざるを得ませんでした。 今日の日本では、主要な生産手段と多くの消費手段は、少数の巨大企業で、企業内やグループ内やコンビナート内ではきわめて「計画的」に生産されており、それら全体を労働者が社会の共同のものとすることによって、社会全体の必要に応じて生産のありかたを民主的・計画的に管理運営する条件が広がっています。またすでに教育・福祉・医療など公共的に社会的に配分されるサービスも増えています。 民主主義の全国的浸透と情報通信技術(IT)、交通運輸手段の飛躍的な発展は、これを労働者の手に移すことによって、必要な分野では直接民主主義を基本にすえることができるほどに民主主義を発展させる条件になり、市場経済を活用しながら、迅速に的確な計画経済を民主的に策定・運営することも容易になっています。 これらのことは、民主主義や情報公開などの拡充とあいまって、官僚主義や特権的階層の発生を未然に防止できる条件と、労働者が社会的企業を自分たち自身の貴重な共有財産と実感できて、個々人の創意性と意欲が発揮される条件とを生みます
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