|
第U部 私たちはどんな時代に生きているか |
2.8割を超えた労働者階級
(1) 日本の労働者階級とその弱点
労働者階級は、富の生産をはじめ、社会に必要な労働の大部分を担う階級であり、社会の維持・発展を担う主要な階級であり、共同戦線と連合政府や、さらには搾取と失業のない新しい社会を実現する力となる主要な階級です。
いまや日本の労働者は6千万人に迫り、有業者人口の8割を超え、量的にも圧倒的多数をもって主要な階級となっています。階層分化が進み、異なった意識を植え付けられていますが、資本に搾取され抑圧され、過労と失業のなかに投げ込まれている点では、同一の労働者階級です。たたかいを通じ、階級意識を高めることがきわめて重要です。
なお完全失業率は5%を超え、増加傾向にあるばかりでなく、大量の短時間労働者、就業活動自体をあきらめている労働者など実質的失業者はその数倍に達しています。
しかし労働者の組織率は 20%程度と極めて低い水準になり、圧倒的多数の労働者が未組織の状態におかれています。しかも労働組合の多くは、企業や当局との協調関係をつよめ、政治的にも保守諸党との支持協力関係に傾斜してきました。
日本の労働組合は、「企業別組合」すなわち企業の正社員労働者を構成員としていることが特徴です。このため「会社あっての労働組合」、「会社あっての労働者」という意識に陥りやすい弱点をもっており、戦後労働運動の中でもその弱点が露呈してきました。
官民大手の正社員労働者は、職場のパート労働者や、下請け企業とその労働者に対する「管理者」の意識さえ持たされるようになり、企業や産業あるいは国境・国籍を越えた労働者の団結と組織化をはばんできました。
(2) 「連合」と労働者の地位の不安定化
「大統一」を呼号した連合は、国家ぐるみの産業再編攻撃に対抗できないどころか、日本社会党の解体と民主党の支援、平和と民主主義と人権のための政治闘争からの大幅な撤退、地区労運動の解体など、労働運動の後退と実質的解体を推進してきました。能力主義・成果主義賃金制度の受け入れで労働者の団結が破壊され、実質賃金の低下を招いた結果、組織人員も減少の一途をたどり、「民主主義は企業の門前で立ち止まる」実態となっています。
職場では労働の強化が進み、健康破壊や過労死や自殺が多発するにいたりました。女性労働者は、雇用機会均等法の成立にもかかわらずパートなど不安定雇用に多数が追いやられ、景気の安全弁に利用されてきました。
雇用・賃金・待遇の男女不平等はごく一部を除いてむしろ拡大しています。資本による労働力流動化は、従来の「日本的雇用」を土台とする「労使協調体制」を不安定化させています。資本の「下士官」的意識をもたされる労働者層は一部にしぼられ、大企業本工の多くも不安定雇用に切りかえられ、管理職のなかからすら労働組合運動がひろがっています。
|
|
|
< 前へ戻る |
先頭へ戻る |
次へ進む > |
|
|