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第U部 私たちはどんな時代に生きているか |
3.農民、漁民と小経営者
(1) 農漁民と小経営者
自然の生態系に直接に働きかけ、その中から社会全体の食料や原材料を生産し供給する農漁民も、働く者の一員です。
したがって農漁民は、人びとが十分かつ安全な食料などを得るためにも、また人類の生存に不可欠な、良好な生態系を維持するためにも、重要な役割を担っています。
しかし農民や漁民は家族従業者も含めて急激に減少し、有業者人口の約5%となっています。ほとんどが自営業で、その多くが兼業農家です。農漁民が大企業から購入する原材料や機械は高価なのに、農産物の価格は安く抑えられています。
多国籍企業の利益のために農産物の輸入が自由化され、農林業が破壊されて、環境破壊と災害の多発を招いています。多国籍企業による種子の独占や遺伝子組替え作物、合成化合物の大量使用などは、新たな食料・農業支配と安全性の危機をもたらしています。
小経営者もまた働く者の一員です。農林水産業以外の個人業主とその家族従業者、および従業員数が 49人以下の小企業の有給役員は、有業者人口の 13%ほどです。
親企業の海外移転や大店舗の進出などで小経営者の生活はさらに不安定になり、経営の存続さえも困難になっています。小経営の破壊は地域の文化や生活と地場産業の破壊につながっています。
(2) 新しい農漁業、小経営の自立的発展の試み
かつては自民党の票田対策だった農漁業や小経営の「保護政策」も、大企業中心の国際的「大競争」路線・新自由主義政策のために次々にはぎとられ、農漁民や小経営者は自らを守るためにはたたかわざるをえなくなっています。
そこで、地域づくりの観点から、また消費者との連携の立場から、さらには自然環境との共生の視点から、あるいは小経営がつちかった技術や歴史を生かし地域文化を育むために、さまざまなグループや個人の自立的な試みと運動や創造的な協同、協力が各地で進んでおり、新しい可能性を開きつつあります。
私たちは、農民・漁民と小経営者の安定した経営と生活を実現するためにも、安全で新鮮な食料の生産や地域社会の活性化と文化の振興のためにも、協同・協力の取り組みを推進します。
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