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第U部 私たちはどんな時代に生きているか |
4.社会的差別を受ける人びと
(1) 重層的な差別を組み込んだ社会
女性は、男性優位の旧習と伝統から解放されておらず、社会的な活動でも企業の賃金・待遇でも差別が続いています。
差別支配の巧妙さにおいて類をみない被差別部落の人びとに対する社会的、経済的差別もいまだ解消されておらず、勤労市民の搾取と分裂支配を容易にする機能を果たしています。
障害者は効率主義の犠牲にされて人間らしい生活から排除され、心身に傷ついた多くの人びとが新たに生み出されています。
かつての植民地支配に根ざす約 65万人の在日韓国・朝鮮人に対する差別や迫害も続いています。
このような多くの差別構造と優勝劣敗、弱肉強食の政策は、大人の社会だけでなく、子供たちにもひずみと重圧をもたらし、差別と人権侵害の悪循環を生み出しています。資本主義社会が高度化、複雑化すればするほど新たな差別も生まれ、また貧富の格差が広がって差別も深刻化しています。
(2) あらゆる差別を越える連帯へ
しかしこの状況は、逆に「あらゆる差別の撤廃を」という運動の基盤を広げ、多様な差別とのたたかいの連携・連帯の可能性も開いています。さらにその運動は、国際的な運動となり、諸条約の批准や国内法の改正、国境や分野を越えた人びとの交流と相互理解の発展へと進んでいます。
とくにNGOの果たす役割は大きく、いくつかの分野では国際政治でも無視できない力になりつつあります。平和や人権、民主主義などの政治的課題に対する市民運動も、個人の自主性と創意に基づいて展開されています。
こうした運動は、反面で政党や労働運動の力量不足、認識不足をも示してきました。私たちは、市民・地域住民運動のもつ価値観を共有し、連帯と共同を進めます。
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